オリンピックは開催やむなしになってきているが、ここで問題になっているのが、観客を入れるかどうか。入れるとしたら何人入れるか?……といった議論。
スポーツライターが熱弁「スポーツ界の取り組みも理解して」 上限1万人案/スポーツ/デイリースポーツ online
フジテレビ系「めざまし8」が16日、政府が新型コロナウイルスの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されれば、定員の50%以内なら1万人を上限に観客受け入れを認める案を検討していることを伝え、スポーツライター・小林信也氏は、スポーツ界のこの1年半の取り組みから有観客を訴えた。
小林氏は「無観客にすべきだという声が強いのは承知していますけれども」と断った上で「この1年半にスポーツ界が一生懸命やってきた取り組みというのも、ぜひ理解して頂きたい」と熱弁。
Jリーグでは常にAIで観客席を分析し、マスクを何%の人が着けているか、着用率が減れば電光掲示板でメッセージを出すなどしていると紹介。また、観戦後は真っすぐ帰宅しているかをGPSで分析した結果、家族以外の友達同士などで食事をした人は6%程度しかいないとも話した。
さらに小林氏は「あと尾身さん(分科会会長)が、オリンピックは違って全国的な人流があるんだとおっしゃってましたが、組織委員会が調べてみたら、チケットを持っている人は7割以上がだいたい会場の周辺地域の人。スポーツ界側のデータもぜひ皆さん、踏まえた上で考えていただきたい」と力説した。
「スポーツ界の取り組みも理解して」という意見もわからないではないが、ここで上げられた例を簡単に検証してみよう。
その6%を少ないとみるかどうかだ。
1つの会場に1万人を入れるとする。そのうちの6%が、祝杯だか打ち上げだかで街に繰り出すとしよう。
その数は、600人。
しかし、これは1つの会場の話。
オリンピック会場は競技ごとに複数ある。
▼オリンピック競技会場マップ
とまぁ、このように都心と湾岸にたくさんあるわけだ。
競技スケジュールにもよるが、10個の会場で各1万人の観客を入れるとすると、6%は6000人になる。
この6000人が街に繰り出すとしたら、これを少ないといえるかどうか。
逆を計算してみよう。
約3割は遠くから来ていることになる。
全競技会場の最大収容人数の42%、約480万枚が販売済みという。
その3割は、144万枚。ひとりが複数枚購入しているとしても、約100万人くらいが遠方から来るだろうと推測できる。
100万人の都外からの人流が少ないかどうか。
6%、7割という数字のトリックに惑わされてはいけない。
割合の数字は実数を誤魔化す手段でもあるんだ。
小林信也氏が「理解して」と説明するのなら、実数を示すべきだと思うよ。
「街中に繰り出すと予想されるのは、1日あたりたった6000人です」
「遠方から来る客は、たった100万人です」
それを聞いて、「なるほど、そんなに少ないんなら大丈夫ですね」と皆が納得するのなら、理解されるだろう。
説得したいのなら、説明は具体的かつ数字は正確に。
これ、基本でしょ。