これまでは、感染拡大をさせているのは若者だと決めつけられていた。
都知事を始めとして、「若い人は外出を控えて」というように、若者を主犯にしてきた。
しかし、それは先入観の思い込みだったことが判明した。
世田谷区が発表 無症状者の3割強が「感染力強いタイプ」 | TOKYO MX NEWS
東京都内では新型コロナウイルスの感染者数の微増が続いています。こうした中、東京・世田谷区は定期的なPCR検査を行った結果、感染させるリスクが極めて高い無症状の感染者が3割以上いたことを発表しました。
(中略)
これまで無症状の感染者というと「排出するウイルス量は少ない」「無症状の感染者は若者が多い」イメージを持っている人が多かったかもしれません。ところが、これとは異なる結果が出ました。無症状の陽性者78人のうち、27人(34.6%)の人が「マスクなしでの会話や会食で容易に感染させてしまうリスクが極めて高いレベルのウイルス量を持っていた」ことが分かりました。この「リスクが極めて高いレベル」とは0.01ミリリットル、ミストの1粒ほどの、目に見えないぐらいの大きさです。会話をしたりくしゃみ1回をしたぐらいで簡単に飛沫(ひまつ)として出てしまう量です。逆にいうと「感染させにくい人」は全体の2割程度しかいません。
さらに「リスクが高い」34.6%のうち、およそ8割が高齢者だったことも分かりました。高齢者でも、感染したことを自覚することなくウイルスを拡大させてしまうことが多いといえます。
このニュースは、あまり大きく扱われていない。
若者は根拠のない思い込みで犯人扱いされてきたわけで、若者を責めてきた都知事や専門家たちは、若者に謝罪すべきだ!
このロジックの背景には、「最近の若者は……」という、中高年と若年層の世代格差や若者差別があるように思う。
中高年の自分たちが正しく、若者たちが悪いとすることで責任転嫁する。
若者に原因があることを前提とした感染対策は、的外れだったのだ。
間違いを認めないと、これから先の感染対策は意味がないことを繰り返すことになる。
外出を自粛すべきは若者ではなく高齢者ということだ。
こういった「思い込み」はほかにもあるだろう。
これまで取られてきた対策が効果を発揮していないのは、やってることが的外れだからだ。
「マンボウ」が話題になったりもしているが、これも対策としては的外れであり見当違いだ。
誰も彼もが冷静さを失って、正常性バイアスに陥ってるようだ。
できるはずのないことを、できるはずと思い込んでしまう。
国内だけでなく、海外の事例や研究・調査を俯瞰していくと、対策としてどれほどの効果が期待できるのかがだいたい見えてくる。
ちょっと古い記事だが……
呼吸だけで感染力 スーパースプレッダー驚きの飛沫量|NIKKEI STYLE
ウイルスを乗せて空気中を漂う微粒子が、どのように体内でできているのかを理解することは、新型コロナウイルスがなぜこれほど速く拡大したのか、またごく少数の感染者から多くの人が感染してしまうのはなぜなのかを理解するうえで重要だ。
空気中を浮遊できるほど細かい微粒子はエアロゾルと呼ばれる。また、たった一人で多くの人を感染させてしまう人を「スーパースプレッダー」と呼ぶ。モラウスカ氏が調査を始めて以来、このエアロゾルとスーパースプレッダーの関係について、かなり多くのことがわかってきた。例えば、体形や声の大きさ、呼吸の速さなどが、感染力に大きく関わっているという。
「感染源となった人は、くしゃみやせきをしているわけではなく、ただ呼吸して、話をしていただけです」。エアロゾルによる感染を専門とする米メリーランド大学のドナルド・ミルトン氏は言う。
この記事では「呼吸だけで感染力」と書いておきながら、「空気感染する」とは書かないんだよね。この曖昧さが、意味のない対策が横行してしまう一因になっている。
私は過去記事で繰り返し書いているが、空気感染を前提とした対策をしなければ、現状やっている対策では効果は期待できない。
なぜなら、呼吸だけでウイルスを排出し感染するのであれば、マスクは何の役にも立たないからだ。
依然として「マスクは有効」とする専門家が多く、マスク着用率は99.9%になっているのに、それでも感染拡大は抑えられていない。
これは海外の事例を見てもあきらかで、マスク着用を義務化して違反すれば罰もある対策をした国や地域でも、感染拡大を阻止できた事例はない。
専門家は限定された条件下での実験やシミュレーションから、マスクの有効性を論じるのだが、ではなぜ感染拡大は止まらないのか?
マスクの有効性とされる実験等は、飛沫をどれだけ防御できるかのデータを示しているだけだ。不織布マスクは飛沫を70%防御できるから有効……というのだが、30%は防御できずに吸い込んでしまうわけだ。
問題はここからで、30%の吸い込みで感染が成立するかどうかだ。
この実験がされていない。
30%で感染するのであれば、飛沫防御率が70%あっても、予防効果はゼロとなる。
感染した人の大部分は日頃からマスクを着用していた人たちだろうから、その人たちが感染してしまったのは70%の防御では予防にならなかった状況証拠だといえる。
強制力をともなうロックダウンをした国や地域でも、感染拡大は防げなかった。3密回避を強制しても効果が得られなかったということだ。
直近の英都市封鎖、コロナ抑制効果確認できず=英調査 | Reuters
英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンが21日公表した調査によると、英国で年明けから行われている新型コロナウイルス対策の3度目のロックダウン(都市封鎖)は、現時点で国内の感染抑制にさほど効果ないことが明らかになった。
これだけのことをしても感染拡大は抑制できないのだから、日本のようなゆるゆるの対策では効果はほぼゼロだろう。
なぜ、効果がないのか?
それは何度も書いているように、空気感染しているからだ。
空気感染していれば、マスクは意味がないし、ソーシャルディスタンシングは3メートルでも不十分、アクリル板の仕切りも無駄、空気中にウイルスが漂っていれば呼吸でウイルスは侵入してくる。
人と人が接触・接近する限り、感染は起こる。
ロックダウンは都市を封鎖するが、中の人々は誰とも会わないわけではない。直接的な接触がなくても、エアダクトやトイレの配管などを通じて感染した事例も報告されている。まったく誰とも接近しないというのは非現実的で、人々を独房に閉じ込めることはできない。
飲食店の時短も無意味だ。
ウイルスが時短に応じてくれるのかね? 笑い話にもならない。午後8時以前だったら、感染しないという理屈はどこから出てくるんだ?
本気で感染拡大の抑制対策をしたいのなら、外出禁止令しかない。
家から一歩も出ず、家族以外の誰とも接触しないで、1〜2か月間、引きこもる。
そんなことは、現実的ではないことは承知だ。しかし、それ以外の手段に効果は期待できない。
新型コロナの流行を沈静化するには、集団免疫を獲得するしかない。
その方法としてはワクチン接種が有効だと思われるのだが、日本国民の7割以上がワクチン接種をして抗体を作り、集団免疫を獲得するには、早くても年内、接種が遅れれば来年(2022年)の春頃までかかると予想されている。
役に立たない対策ばかりやっているが、なにをしようとも第4波(4〜5月)、第5波(8〜9月)、第6波(12月〜2022年1月)と繰り返すと思うよ。
ただ、波の高さは徐々に低くなるだろう。
ワクチン接種をしていなくても、感染する人が増えれば、それだけ集団免疫にちょっとだけ近づくからだ。
第4波は第3波と同等くらい、東京での新規感染者数が1日3000人を超えるかどうかが分かれ目。1000人は超えそうだが、3000人まではいかない気がする。というのも、検査に引っかからない市中感染率も上がるため、抗体を持つ人が増えることが予想されるからだ。
ともあれ、第4波以降も来ることを前提に考えた方がいい。