猫を長年飼っている人には、経験則でわかっていたことだが、飼い猫の行動半径が100m以内だったということが立証された。
GPSや装着カメラで明らかになった「飼い猫たちの行動」 ≪ WIRED.jp
研究チームが使ったのは、野生のチーターがどのように生活しているかを調査した研究で使われた手法だ。この研究では、GPSや加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計を備えた無線付きの首輪が利用された。
(中略)
驚くべきことに、ほとんどのネコはあまり遠くまでは出歩いていなかった。オスの冒険は多くが家から100m以内であり、メスの外出はその半分ほどだった。ぐうたらなネコの中には、家の庭から出ることさえしないものもいた。
経験則でわかっていることでも、科学的に立証するにはこういう実験をしないといけないということ。
私たちの運営している「迷い猫.NET」に、猫が迷子になったときの探し方のコラムを掲載しているのだが、そこにも同様のことを書いている。
猫でも犬でも、自力ではそうそう遠くまで行くことはない。せいぜい数百メールの範囲内だろう。
このコラムを書いたのは2002年だが、私の経験則からの推論がやっと証明された(笑)。
猫や犬には、縄張り意識があるのだが、猫の縄張りは狭い。それは行動半径が狭いということだ。逆にいうと、狭い範囲内で寝床と食料を確保できる環境が必要でもある。猫は家につく……ともいうが、その家とは寝床と食料があることが条件なのだ。
飼い猫が迷子になってしまうことが多々あるが、猫を探すのなら自宅から100m以内を徹底的に探すこと。
ただし、マンションでは事情が異なってくる。
階層構造のマンションでは、猫は階層の違いを識別できなくなる場合がある。2階建てのアパートのような場合には、猫の視野に入るし、上り下りも容易なのだが、数十階以上のマンションでは、猫は5階と10階の区別がつかない。各階の作りも基本的には同じため、戻ろうにも戻れないのだ。
嗅覚は人間よりも優れてはいるものの、犬ほどではなく、臭いをたどって戻るということはできない。
地上に降りたと想定すると、寝床と餌場になりそうな場所を探すことだ。餌場とは、生ゴミ置き場や飲食店のあるところ。まず食べものを探すことから始めるのは、動物の本能だ。
猫を溺愛するあまりに、猫を人間のように扱ってしまう人がいるが、それは大きな間違い。猫は猫の本能で行動するのであって、人間の価値観で行動するのではない。
「うちの猫ちゃんは大丈夫」などといって、平気で外に連れ出したりして迷子にしてしまう人が多い。
猫に人の気持ちは通じない。
通じるなどと思ってはいけない。
猫は猫なのだ。
そのことを忘れずに、猫を可愛がってほしい。