ミーちゃん(4歳)、逝く

ミーちゃん

わが家の猫が、またひとり、逝った。
ミーちゃん(♀)、まだ4歳の若さだった。

もともと体の弱い子で、てんかんの持病がある猫だった。
病院に行くことも多く、この3週間ほどは闘病生活だった。

2週間前には一時、動物病院に入院したが、獣医師から、いつ急変してもおかしくない状態といわれ、自宅に戻って最後のときを見送ってあげることにした。
自宅に点滴の機械を借りてきて、点滴をしながらタンパク質補給のために強制給餌をする毎日が続いた。

もって2~3日だろうと覚悟していたが、自宅に戻ってからは、2週間持ちこたえた。日に日に衰えていくのはわかったし、自分では水を飲むことも食べることもできない。それでも自宅に戻った安心感からか、むくみが取れ、落ち着いている時期もあった。
しかし、全快する望みは薄かった。

病因が不明だった。
てんかん発作を抑えるための薬は飲んでいたが、それは副作用も強い薬だった。そのため皮膚炎を起こして、痒いために舐めすぎてお腹が禿げてしまった。てんかんの薬をやめ、今度は皮膚炎を治す処置をしなくてはいけなかった。

皮膚炎がほぼ治りかけた頃から、元気がなくなった。食が細り、痩せていくばかり。
獣医師の診断を受けても、原因はわからず。
ついには脱水症状にいたり、点滴を受けることになった。

検査の結果、猫の難病である、猫エイズ、白血病、FIP(猫伝染性腹膜炎)のいずれでもないことはわかった。
原因がわからないことには、治療のしようもなかった。
できることは、見守ってあげることだけ。

どうしても避けたかったことは、昼間の不在時に、ひとりで逝ってしまうことだった。最後は看取ってあげたかったのだ。
幸いにも、私は16日(月)、17日(火)と、遅ればせながらの夏休みの代休だった。しかし、先週の金曜から風邪をひいてしまい、この休み中はずっと熱を出していた。この間に、ミーちゃんが最後を迎えるのなら、看取ってあげられると思っていた。

だが、ミーちゃんは頑張った。

一方、私は風邪がいっこうに治らず、昨日の18日も熱が37~38度の間にあった。それで昨日も会社を休んだ。ずっと熱を出しているので、私も寝てばかりだったが、3時間おきに起きては、点滴をチェックし、強制給餌を続けていた。

夕べの11時ころになって、妻が私を起こした。
「そろそろダメみたい」
煮えた頭を抱えて、ミーちゃんのそばにいてあげる。そのとき、私の体温は38.2度だった。

ミーちゃんは呼吸が辛くなり、虫の息だった。
1時間ほどそばにいたが、私が起きていられなかった。
「急変したら、起こして」といって、私は布団に入った。

それから1時間ほどして、起こされた。
「ミーちゃんの呼吸が止まった」と妻。
私は起き上がる。熱で汗をかいていた。
ミーちゃんは、猫ベッドの中でやすらかに眠っていた。
「苦しんだ?」私は聞いた。
「静かに息が止まったの」
そうか、眠るように逝ったのか。
よかった……。
Bチャンのときは、最後に大きな痙攣を起こして、苦しそうだったのだ。

最後を看取るのは、辛い……。
でも、それが私たちの責任だし、猫のためでもある。
6月にBチャンが老衰で逝ってから、4ヶ月後にまた見送ることになった。こんなに短期間で続くのは、よけいに辛い。

ミーちゃんが最後の戦いをしているときに、私はいった。
「Bチャンに会ったら、たまには遊びに来いよって伝えてくれ」
霊感などは皆無の私だが、魂でも会えるなら、会いたいものだ。

いまごろ、ミーちゃんはBチャンに私のメッセージを届けてくれているのだろう。
そう、思いたい。

諌山 裕

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