日経ビジネス電子版に、「ワープ航法」などという似つかわしくない単語が出ていた(^_^)
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なんの話かと思ったら……
ワープ航法、タイムマシン……数十億年後の人類のため:日経ビジネス電子版
1974年放映の人気アニメ『宇宙戦艦ヤマト』。地球が放射能で汚染され、14万8000光年のかなたにあるイスカンダル星まで行き、空気清浄装置を持ってこなければ1年後に人類は滅亡するという状況から始まる物語だ。
地球とイスカンダルの往復距離は29万6000光年。仮にヤマトが光速で飛行しても戻ってくるまで29万6000年かかる。こんなむちゃな設定でも全国の子供たちが腑(ふ)に落ちたのは、劇中、ヤマトの移動方法として採用された「ワープ航法」によるところが大きい。
ええーと、ツッコミを入れると「空気清浄装置」ではなく「放射能除去装置」ね。
放射能で汚染された地球の、放射能を中和してくれるという優れもの。福島の原発事故に欲しい未来技術だ。
放射線を発する放射性物質は、アルファ線、ベータ線、ガンマ線等を発することでエネルギー(と質量)を失っていき、やがては無害な物質になる。それにかかる時間が、長いもので数万年かかるため、長期にわたって周囲を汚染し続ける。
物語中では詳しいことは説明されていなかったと思うが、微粒子となった放射性物質を電磁的にフィルタリングするのか、放射性物質のエネルギーを吸い取るのか、無害な物質(鉛など)に変換するような装置なのだろう。
現在の技術では、物理的なフィルターは、微粒子の放射性物質のみを取り出すことができず、汚染水になってしまう。汚染水とは、放射性物質が混ざっているから汚染水となっているのであり、水と分離できないのが技術の限界。
理屈の上では、水分子よりも溶けこんだ放射性物質の方が大きいので、水分子だけを通すフィルター(逆浸透膜)を使う方法がある。逆浸透膜を使うと、セシウム、ヨウ素などは98%除去できるとの実験データもある。それを使えばいいとはいうものの、濾過できる効率が悪く、綺麗になる水40%に対して、放射性物質を含む廃棄水が60%発生するという。結局のところ、水と放射性物質を完全に分離するのは難しい。
さて、ワープ航法である。
記事ではワープについて短く説明されているのだが、ヤマトのワープ航法は「空間歪曲型ワープ」に分類されるタイプ。
出発地A点と到着地B点の間の空間を「折り曲げて」、移動距離を短くするという方法。ヤマトの作中では、折り曲げられた亜空間を移動するシーンが描かれ、瞬間移動ではなくある程度の時間をかけて移動していた。
記事中で書かれているワープ航法はヤマトの方法ではなく、ワームホール型ワープだったりする。
ひとことにワープといっても、方法はいろいろとあるので、そこは区別して欲しいところ。
空を飛ぶ方法として、ハンググライダーで飛ぶか、プロペラ機で飛ぶか、ジェット機で飛ぶか、ロケットで飛ぶか、その方法によってまったく違ったものになる。
「空間歪曲型ワープ」も「ワームホール型ワープ」も、ワープ航法の種類としては、難易度が高いものだ。なぜなら、宇宙船だけではなく周囲の空間ごと操作しなくてはならない方法だからだ。
ジェット機に例えるなら、飛行するのに空気が邪魔だと、機体の前を真空にしながら飛ぶみたいな話になる。
それに対して、スタートレックで採用されている方法は「通常推進型ワープ」
この方法は、宇宙船が亜空間に遷移して、亜空間内を飛行する。「亜空間の内部では物質の質量は逆に小さくなり、相対性理論が通用しなくなる」という設定で、亜空間内では光速を超えられる。周囲の空間をどうこうするわけではなく、船の推進力だけで航行できるので、自己完結している方法だ。ただし、制約も設けられていて、ワープ速度10(無限の速度)は出せないため、到達できる範囲が天の川銀河の中の一部だけ(8000光年程度)になっている。銀河と銀河の間を移動できるほどの能力はない。
ちなみに、スターウォーズでのワープ航法は、瞬間移動型ワープとでもいうべき方法で、ワープ空間に突入した瞬間から間を置かずに目的地に出現する。大気圏内からもワープできてしまうので、恐るべき超テクノロジーである。
前にも書いたが、いずれにしても人類がワープ航法を発見・開発しない限り、この太陽系から出ていくことはできないし、銀河帝国なんて成立しない。太陽系内の移動にしても、化学燃料ロケットでは話にならないし、原子力ロケット、核融合や反物質を使ったエンジンでも、まだまだ非力だ。
人類が地球にしがみついて生きていくしかないとしたら、その先にあるのは自滅だけかもしれない。気候変動、食糧難、人口過剰、資源の枯渇……等々、いずれ限界が来る。なぜなら、地球上で使える資源には、おのずの限界があるからだ。
活路は宇宙だ。
それも恒星間の行き来ができるスケールの宇宙。
火星に移民などというしょぼい話ではなく、数十〜数千光年の範囲にある太陽系外惑星への移民だ。到達できる範囲が広がるほどに、資源は無尽蔵に近くなる。ひとつの惑星を、個人が所有するような世界かもしれない。
「ワープ航法は人類存続の鍵」といってもいい。
ワープ航法が可能であるならば、すでに実用化している異星人がいても不思議ではない。地球にはすでに異星人が来ている……なんていうUFO話もあるが、それを可能とするのもワープ航法しだい。
ワープ航法が可能なら、通信手段もワープ通信になっているはず。人類がせっせと電波望遠鏡で耳を澄ませていても、先進種族はワープ通信を使っているのだから、メッセージが届くはずもない。
今現在も、ワープ航法の異星人の宇宙船が、銀河の中を飛び交っているとしたら……
想像するだけでワクワクしてしまう(^o^)