気候変動と食糧供給の問題。
様々な問題が発生し、いろいろと議論されているが、できることは焼け石に水程度のこと。
この問題には、もっとも重要な原因と解決方法があるのだが、そのことにはほとんど触れられない。
それはいえない……というタブーなのだろう。

以下の記事は、ちょっと前のものだが、これについて書く時間がなかった。仕事が忙しかったのだ。

地球を食べ尽くす前に、わたしたちは「食糧システム」を根本的に変えなくてはならない|WIRED.jp

人類は、気候変動と食糧供給の板挟みになっている。地球を守るためには森を保護し植林をしなければならない一方、爆発的に増加する人類の腹を満たすには、さらなる土地が必要だ。この状況を打破するためには、肉を食べない食生活への転換や、新しい技術の開発といった単体の解決策では不十分だ。わたしたちは、大きな変化を並行して起こさなければならない。

(中略)

わたしたちは、このような容赦ない矛盾に陥り、身動きがとれなくなっている。二酸化炭素の吸収量が増えるよう森を守り植林しなければならない一方で、爆発的に増加する人類の腹を満たすには、さらなる土地が必要だ。

(中略)

物事のやりかたを変えることは、政治的にも、文化的にも、技術的にも極めて大きな取り組みとなる。しかし、わたしたちは変わらなくてはならない。そうしなければ、この地球は食べ尽くされてしまうのだから。

結論から先に書けば……

世界人口が多すぎるのが、すべての原因。
解決策は、世界人口を減らすこと。

たびたび書いていることだが、結局のところ、温暖化を含む環境問題も、食糧問題も、世界人口が多すぎるからだ。
アフリカなどでは、ときどきバッタが大量発生して、草木を食べ尽くしてしまうが、あれと同じようなことを人類はやっている。
この人口爆発は、生物として観察すれば、自然現象でもあるので、食べられるものを食べ尽くして、バッタのように死んでいくしかない。

その暴走を止めるにはどうするか?

人口を減らすしかない。
これまでのように40年で倍増するような増え方では、自滅するしかなくなる。
増え続けるためには、増えた人間の食糧が必要なので、食糧が底をつけば生まれても生き残れないから、将来的には減少には転ずる。
そこはバッタと同じ。

IPCCは危機感を表明しているとのことだが、二酸化炭素の排出規制は提言するものの、人口を削減しろとは提言しないんだよね。
それがもっとも効果的な方法であるにもかかわらず。

つまり、人口抑制、あるいは人口削減は、公言できないってことだろう。
このまま人口が増え続ければ、遠からずどん詰まりになることは見えているが、それでも目をつぶるしかないってことだ。

そろそろ権威のある機関や人物が、人口削減を提唱する頃合いではなかろうか?
問題の本質から目をそらしていては、なにも解決しない。
それが大きな論争を呼ぶことになったとしても。

出生率が下がっている日本は、なんとか出生率を上げようと躍起になっているが、それは自滅へのカウントダウンを早めることでもある。

これもなんども書いているが、人口減少に転じた日本は、むしろ良いことなのだ。
経済成長ありきの価値観では、人口減はネガティブに受け取ってしまうが、環境問題や食糧問題にはプラスだ。人口が劇的に減れば、エネルギー消費量も減るし、必要な食糧の量も減る。
ただし、マイナス成長の経済の中で、どうやって回していくかの方策は考えなくてはいけない。
大量生産、大量消費の時代は終わりだ。
経済優先の思考も変えなくてはならない。

なかなか変われないのは、貨幣経済、資本主義経済を基本としているからだ。
儲からないことはやらない。儲かることしかやらない。
この価値観が絶対的にあると、人口は増え続けないと成立しない。いわばネズミ講みたいなもの。

世界人口が100億を超えると、地球は人類を養えなくなる可能性が高い。
貧富の格差はさらに広がり、食糧難に苦しむ人々が多くなる。
第三次世界大戦が起きるとしたら、食糧の奪い合いが原因になるかもしれない。戦争は富の奪い合いで起こるが、これまでは領土や石油などのエネルギー資源が富の対象だった。
それが食糧になる。あるいは、食糧を生産するための土地だ。

また、あまり話題にならないが、人類が消費する真水の量も問題で、世界の帯水層の3分の1をすでに失っているという。海水から真水を抽出する安価な方法を普及させないと、水不足も世界的な問題になってくる。

仮に第三次世界大戦が起き、核戦争になって、数万発もある世界中の核が主要都市で爆発すれば、世界人口は激減する。
人類は絶滅寸前にまで追い込まれるかもしれない。

皮肉な話だが、その結果は、地球をリセットすることになる。

核戦争後の世界を描いた物語(映画)は、いろいろとあるのだが……

核戦争は悲惨なものだから、ディストピアとしての世界になっているものが多い。たしかに、戦争直後が悲惨な状況なのは、太平洋戦争後の日本の惨状を見れば想像はつく。だが、焼け野原からリセットして復興したのが、現在の東京に代表される都市でもある。広島も長崎も、多くの犠牲者を出したが、それで終わりではなかった。

ピックアップした作品の中で、「風の谷のナウシカ」だけが希望のある世界だね。世界は戦争で破壊されたが、同時に再生の始まりでもあった……という世界だ。

核戦争後の世界は、なにもかも失われたゼロから再出発するだろう。
愚かな結果としての核戦争だとしても、人口問題はリセットされる。もし、教訓から学ぶとしたら、制限なき人口増加に歯止めをかける知恵をつけることだ。

破滅、あるいは絶滅というと、恐ろしく絶望的に思えるが、ナウシカの世界のように再生の始まりでもある。
恐竜が絶滅しなければ、人類が誕生することはなかったように。

地球を食べ尽くす日が来たら……

それはもう、地球をリセットするしかない。
人類を何十回も絶滅できるほどの核兵器を備蓄しているのは、そのためなのかもしれない。

細胞が自然死するのを「アポトーシス」というが、これは細胞の自浄能力のひとつ。
地球をひとつの生命体と考えたとき、人間のひとりひとりは細胞のようなもの。異常に増え続ける様子はガン細胞に似ている。
そこで、アポトーシスをうながすために戦争が起きるとも解釈できる。

人間は自然の摂理から独立していると勘違いしているが、じつのところ微生物と同様に自然の法則が作用している。
増えすぎれば自滅する。

ま、100年後か200年後の話だが(^_^)

諌山 裕

View Comments

  • 返信ありがとうございます。

    子ども産まない運動、今後現在の環境が改善しないのなら、産めない。産まれてくる子どものために産むべきではない。なので....、という、彼彼女らの怒りであり悲しみですよね。

    そのアピールのストライキ。

    食料や環境のこととして考えると、方法としては非常に後ろ向きです。

    若者たちも判ってやっているのでしょうが、少なくともわたしは心を動かされました。そんな世の中嫌ですからね。

    ゴミの問題や自然保護のこと、個人でできることには限りがあり、効果も小さなものかもしれません。

    ですが、スタートはここではないでしょうか?

    個人が大勢になれば、法律も変えられる可能性があります。大勢の個人が取り組めば、小さなことではない。もともとゴミだって大勢の個人のものですしね。

    自然環境を壊してきた産業が、自然保護の訴えにより悪化する。当然ですよね。良い悪いではなく。
    返信の最後にあった、痛みを受け入れられるかどうかというお話ですが、変化を受け入れられるかどうかと言い直してもよいと思いました。

    お金や永続的な経済成長のことも、もちろん大切なことであり、そしてそれと同じくらい、いえ今からは環境のことをさらに大切にするべきなのではとわたしは思います。

    あと個人的に思うのは、行動している意見を持つ人間のことを、行動しない特に意見もない人間が、嗤い攻撃している世界が堪え難い。
    単にストレス解消とは思えない、霊的に異常に病んでいる。貧困とも環境とも密接な気がしますが。

    その匿名者達が、実社会の人間の行動を制限しているという場面も増えてきています。

    世界は、いえ日本はどうなっちまうんでしょうね。

    • いくつか補足など。

      ほとんどの産業で、なんらかの形で環境汚染や環境破壊をしているので、どれか特定の産業だけが悪者というわけではありません。

      工業はもとより、農業では農薬を使いますし、畜産では家畜の出すメタンガス(げっぷ)が問題になっています。なにしろ、人間の数よりも家畜の数の方が多い国もあるのですから。そのことから、「肉を食うな」ともいわれるわけです。

      日本は食糧自給率が低いので、多くの食糧を輸入しています。
      輸入するためには、貨物船や飛行機で運ばなくてはいけないわけで、その輸送過程で二酸化炭素などの環境汚染をしてしまいます。
      食糧の輸入を制限、あるいは止めるようなことになれば、日本は飢えることになります。

      プラゴミに関しては、環境に漏出したプラスチックの成分を分析すると、もっとも多いのは化学繊維だといいます。衣服に使われる化繊のことです。
      洗濯をすると繊維が抜けたり剥がれたりして、繊維くずが出てきます。大きなくずは洗濯機のフィルターで取られますが、目に見えない微細なものは下水として流されます。
      しかし、下水処理場には微細な繊維くずを除去する能力はなく、それらは排水として川や海へと流されます。
      それがプラスチック汚染の主犯なのです。

      つまり、レジ袋を規制するよりも、化繊の入っている衣服は作らない、買わない、着ないという運動の方が、レジ袋禁止よりも有効だとも考えられます。

      環境問題に関しては、「ホワイト企業」はないといえます。
      大なり小なり環境汚染に加担している、ブラック企業ばかりなのです。
      そこが難しいところで、大きな痛みを伴うわけです。

  • 食料、土地、人口。

    なるほど人類はだいぶ苦しい三つ巴のようですね。。
    それでも取り組める部分や要素はまだあります。自然を破壊して食料にも二酸化炭素のことにも無意味な部分、リサイクルから外れた部分ですね。例えばプラごみ。

    小さなことかもしれないけど、誰でも取り組めます。今すぐからでも(^ ^)
    もちろんあるひとつの取り組みですよ。

    記事にあるような人口削減ですが、確かに劇的な効果があるでしょう。確実過ぎる方法です。

    ただ、どうすればよいのでしょう?
    なにができるのでしょうか?
    例えば私にです。
    もしくはあなたに。もしくは他の誰かにです。

    具体的な方法がないのであれば、クールとかセクシーとか言ってる愚かな人間と変わりません。

    能動的に人口削減というのは、難しいのではないでしょうか?

    • 大西さん、コメントをどうも。

      別の記事で書きましたが、「子供を産まない」という若者たちの運動があるそうです。
      それは一番早い方法かもしれません。

      日本は人口減少に転じていますが、意図しないまでも人口削減になっています。
      出生率を下げる、産児制限をするのも方法になり得るでしょう。

      プラゴミのことを例に出していますが、個人レベルでできることには、実質的な効果は望めないでしょう。レジ袋を規制したところで、全体から見ればわずかでしかないからです。
      エコな活動をしているという自己満足感は得られるでしょうが、パフォーマンスにしかなりません。

      パフォーマンス的な取り組みと、実質的な効果のある取り組みは、分けて考える必要があると思います。
      プラゴミに関していえば、末端のレジ袋の規制ではなく、プラスチックの生産量の総量規制をすることです。
      それをするには、個人レベルの話ではなく、法律などによる強制力が必要です。

      これには大きな痛みが伴います。
      さまざまな製品にプラスチックは使われていますから、それが使用制限されれば産業の停滞や後退を招く恐れがあります。
      便利な生活が不自由になり、代替品のコストも高くなるでしょう。
      その痛みを受け入れられるかどうかです。

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