ビットコインが急落したらしいが、大部分の人には関係ないから、「だからどうした?」という感じだと思う。
円やドルの為替相場の変動は、私たちの日常生活にも影響するが、ビットコインは直接的な影響はほぼない。通貨としてのビットコインは、変動幅が大きすぎて、使える通貨にはなっていない。
ビットコイン急落で採掘業者も打撃-損失拡大で閉鎖迫られる恐れ – Bloomberg
ビットコインの急落は採掘業者にも大きな打撃を与えており、一部は白旗を揚げつつあるようだ。
ブロックチェーン・ドット・コムによれば、ビットコインの採掘(マイニング)に利用されるコンピューターの計算力を測る指標のハッシュレートは、過去最高だった8月末から11月24日までに約24%低下。採掘業者による他の仮想通貨への乗り換えが影響している可能性もあるが、JPモルガン・チェースはこの低下について、ビットコインの価格急落を受けて一部採掘業者は損失が拡大しつつあると指摘する。
前々から書いていることの繰り返しになるが、そもそも仮想通貨は無価値だったのに、あるときからリアルマネーと交換できるようにしてしまったために、投資や投機の対象になった。
ビットコインを最初に持った人は、ギフトとしてタダでもらった。ゲーム内通貨と同じような扱いだったのだ。リアルマネーと換金できなかったから、使い道が限定されていた。
ビットコインの通貨としての価値と、ブロックチェーン技術としての価値は、同じではない。相関関係にはあるものの、相場としての価値を左右しているのは、人々の欲であり、リアルマネーに換金できるという前提によるものだ。
仮想通貨の肝は、リアルマネーに換金できるかどうかだ。
換金できないのであれば、現実世界でなにかを買うことはできないし、預金が増えるわけでもない。
いまのところ、仮想通貨とリアルマネーとの換金は規制されていないが、政府や国家、あるいは中央銀行が仮想通貨に対して危機感や不信感を抱くようなことになれば、規制がかけられる可能性もある。
換金が違法となれば、仮想通貨は不法な通貨になる。
現状のような乱高下したり、犯罪の温床になったりしていると、遠からず規制が強まるのではないかと思う。通貨は経済や政治を動かす手段でもあるわけで、コントロールできない仮想通貨がのさばっているのは、国家としてはやっかいな存在になる。
仮想通貨が盗まれる事件もあとを絶たないが、数億〜数十億ともいわれる仮想通貨が、いとも簡単に盗まれるのは、仮想通貨ならではだ。その盗まれたとされる金額は、リアルマネーに換金した場合の話であり、換金できないのであれば無価値なデータに過ぎない。
ビットコインの採掘(マイニング)できる上限は決められているので、時間の経過とともに採掘できる量も減っていく。それはコストがかかることを意味しているので、相場が暴落すると儲からないという話になってくる。
インフレを抑制するために、採掘できる上限を設けたとされているが、あまり効果的な方法ではなかったようだ。
つまり、ビットコインが採れなくなったのなら、別の仮想通貨を作ればいいという逃げ道があったからだ。その結果、たくさんの仮想通貨が登場した。
初めてビットコインが、通貨として使われた「ビットコイン・ピザ・デイ」から8年。
そろそろ目を覚ましてもいいのではないか?
ビットコインに値段を付けているのは、信用ではなく強欲だということに。
仮想通貨ブームともいえる現象は、すでにピークを越えて、今後は下火になっていくかもしれない。