労働基準法を厳密に守る会社は少ない

 働くことは不可欠だけど、働く環境や条件は、なにかと厳しい。
 で、こんな記事。
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-社説「偽装請負 正社員化を進めよう 」

 企業からすれば、労働者を守るための法的義務から逃れて、安い労働力を必要な間だけ使える。請負会社にしても、労働者を集めて送り込むだけで済む。双方にとって好都合な話となる。

 しかし、これは職業安定法や労働者派遣法を破る違法行為である。さらに、企業側が労災事故が起きても労基署に報告しない、社会保険への加入を怠る、といった働く人々をないがしろにした行為が相次いで明らかになっている。

 製造業という特定の業界での話だが、これはどの業界でも似たり寄ったりだろう。
 私の勤めている会社は、つい最近、有限会社から株式会社になった。小さな会社である。
 私は正社員ではあるが、けっして労働環境は適正とは言えない。
 「適正」というのは、労働基準法に準じているかどうかという点においてだ。

 たとえば、有給休暇。
 私の勤めている会社に、そんなものはない(^_^)
 労働基準法では、

●「年次有給休暇は6ヶ月経過後から与える」

となっている。私は今の会社に、もう1年以上在籍している。

 たとえば、時間外労働。
 いちおう、会社の定時は、10時〜19時である。
 しかし、定時で終わることは少なく、残業が続くことが多い。
 労働基準法では、

● 使用者は、労働者に、休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を越えて労働させてはいけません。

とある。
 しかし、1日に3時間の残業、5日で55時間働くことは珍しくない。

 たとえば、社会保険。
 うちの会社にはそんなものはない(^_^;
 私は個人が入る、国保なのだ。

 たとえば、時間外賃金。
 いくら残業をしても、時間外手当などは一切出ない。
 労働基準法では、

● 法定時間外労働をさせた場合は2割5分以上の、法定休日労働をさせた場合は3割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。

となるが、そんな賃金体系になっていないのだ。

 賃金に関しては、時間外手当が無く、1ヵ月固定であることを承知の上なので、文句を言うつもりはない。ただ、法律上は払うのが義務だということ。
 私がしている仕事は、以前はフリーランスでやっていた。だから、仕事に対するギャラが、最初からいくらと決まっていることは知っている。時間がかかったからと、余計に請求できるものではないのだ。
 フリーランスならそれでもいい。
 しかし、会社なのだ。それも株式会社なのだ。
 会社としてやるからには、労働者に対して、それ相応の処遇をするのが、会社としてのポリシーではないのか?
 そもそも、そういう意識というか、自覚がないのだ。

 うちの会社には、タイムカードすらない。
 社長はあるとき、こういった。
「時間で管理されるのが嫌で、自分で会社を起こしたんだから、タイムカードなんてなくていいよね」
 それは違うだろう(^_^;
 経営者なんだから、労働者の環境を管理するのも重要な仕事のはずだ。
 それをしないのは怠慢なんだよ。

 ともあれ、私のいる業界は、どこも似たようなものだ。
 派遣か正社員かではなく、会社として最低限の守るべきことを守れるかどうかなのだ。
 正社員だからと、法律に保護されているわけでもないのだから。
 それが実情だ。

諌山 裕

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