「シルバー民主主義」と「世代間1票の格差」

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

高齢者の割合が増えていることで、政治が高齢者を優遇する方向に偏っている……とする、「シルバー民主主義」と呼ばれる風潮についての、 小田嶋氏のコラムが、なかなか面白かった。

ちなみに、私は小田嶋氏のファンである(^_^)

「シルバー民主主義」の注意点:日経ビジネスオンライン

 最近、気になっているのは、この「シルバー民主主義」という用語が、言われはじめた当初と比べて、よりネガティブなニュアンスで使用されていることだ。

(中略)

むしろ警戒せねばならないのは、若年層と中高年層の間に無理やりに線を引っぱって分断をはかろうとする人々の論法なのであって、私が個人的にこの5年ほど懸念を抱いているのも、必要のない場所でやたらと世代論を持ち出す論者の語り口であったりする。

(中略)

ひとつめは、7月24日に配信された山本一郎という個人投資家・作家による「年寄り民主主義とテレビ番組に反政府を煽られて勝敗が決した仙台市長選」というタイトルの記事だ(こちら)。

(中略)

2つめの実例は、7月22日にアゴラというサイトに掲載された

《マスコミを極左化させる「文学部バイアス」》

というタイトルの記事だ(こちら)。

この記事の中でも、シルバー民主主義とテレビディアの蜜月が指摘されている。
筆者の池田信夫氏は、記事の中で「ワイドショーに登場するコメンテーターが極左化する」理由として、3つの理由を挙げている。

因果関係が明確ではない極論の例として挙げられているのが、山本一郎氏と池田信夫氏というのに笑ってしまった(^_^)。

両者の記事はBLOGOSでちょくちょく読んでいるので、論説の切り口というのはだいたい想像がつく。
山本氏は、文面としてはフレンドリーなんだけど、けっこう極論に走る傾向にある。
池田氏は、論理的に攻めているが、上から目線であり、情け容赦のない書き方。その論理は、ときに破綻があったりするのだが、気がつかないのか、無視している場合がある。

両者に共通しているのは……

「オレ以外は、みんなバカ」

という自信というか、強気というか、読者を見下しているところだろう。
いわゆるエリート意識だね。
それなりに地位や権威や経歴があるから、たしかに頭のいい人ではある。そこは敬服するし、私みたいなバカには太刀打ちできないとは思う。

だけど、バカな私から見ても、「それは違うんじゃねぇ?」と思うことはある。

そこのところを、小田嶋氏が突いている。
うんうん、同感だよと思いつつ読んだ。

「シルバー民主主義」といわれる、高齢者に偏った政治や行政に問題があるにしても、逆に「若者民主主義」と呼べるような時代があったのだろうか?……と思う。

いつの時代も、世の中を牛耳っているのは年の功の中高年世代であり、20代の若者が世の中を動かす中心だったことはないのではないか?

文化面では、音楽、アート、マンガなどで、若者がムーブメントの中心にはなるが、こと政治に関しては古今東西、若者が政治のリーダーになることはほとんどない。政治の世界では、40代でも若いといわれるが、一般的にはもはや中高年である。

しいて挙げれば、明治維新の前後に活躍した若者たちがいたとはいえるが、その多くが若くして命を落としている。生き残って政府の要職についたときには、30〜40代になっていた。平均寿命が短い時代(江戸時代〜明治時代の平均寿命は43〜45歳)なので、40代は現在に換算すれば60〜80代というところだろう。

「シルバー民主主義」についての記事なのだが、世代間の人口構成が変わってきたことを考えれば、それに対する選挙のあり方も考えなくてはいけないのではないだろうか?

都市部と地方との人口の違いにより、地域間の1票の格差が問題になり、是正するための措置も行われている。

だとするなら、世代間の人口格差があるのだから、「世代間1票の格差」も問題にしてもいいのではないか?

つまり、20代を1とした場合、60代に2倍の人口があれば、20代の1票は0.5票の価値しかないことになる。これでは不公平だよね。理由は地域間の1票の格差に通じるが、世代間格差では人口が多いほど影響力が大きくなるので、人口の少ない世代は不利になる。
この格差を是正するためには、高齢者の1票を1ポイントとし、20代の1票は2ポイントの価値があるとかね。

あるいは、世代ごとに議員定数の枠を設けるかだ。
20代から10年刻みで、30代、40代、50代、60代、70代以上……というように、年代別カテゴリで各年代から議員を選出して、数の上で各年代の公平性を保つとかね。老人議員ばかりだから問題になっているわけで、若者と老人が同数であればバランスが取れるのではないか?

マスコミの報道の仕方や、世論調査の結果などで、人々の考え方が影響されることは否定できないが、自民党や政権の不人気は、もっと単純なのではと思ってしまう。

つまり、「自民党は、安倍政権は、もう飽きた」

アメリカのトランプ政権も支持率が下がっているが、あっちも「トランプには飽きた」ということなんだと思う。

アベノミクス」とか「三本の矢」などと、初期の頃は威勢のいいことを繰り出していたが、それで景気がよくなったといいつつも、実質的には満足感はなにもないという現実。ニンジンをぶら下げられて、走ってみたものの、いつまで経ったもニンジンを食べられないことに気がついてしまった。
だから、もう煽られて走るのはやめにしよう。

ま、それが飽きたったことだね。

安倍首相の健康不安説などもささやかれているようなのだが、遠からず安倍劇場は幕を閉じることにはなりそうな予感。
その予感というか、焦りがあるために、安倍首相はできることをいまのうちに……と、急いでいるのではないか?
そんな気がする。

 

諌山 裕

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