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ダークエネルギーはあるのかないのか?

宇宙の68%を占めるとされるダークエネルギーだが、それがなくても宇宙の加速膨張は説明できるという説が登場した。
井の中の蛙の私たちには、宇宙がどうなっているのか「外」から観測することができないので、内側から見えていることから推測するしかない。
そのため、異なった理論でも、似たような結論に達したりする。
これもそのひとつだろうね。

ダークエネルギーがなくても宇宙の加速膨張は説明可能 – AstroArts

宇宙は138億年前に誕生してから膨張を続けている。これは「銀河が私たちから遠ざかる速度は、平均的には銀河までの距離に比例しており、遠い銀河ほど速い」という観測事実からわかっていることだ。

さらにIa型超新星の観測から、宇宙は加速膨張していることが明らかになっている。この加速膨張を引き起こしているのは、宇宙の全エネルギーの 68%を占めている「ダークエネルギー」だと考えられている。広く受け入れられている説ではあるが、ダークエネルギーの正体はまったくわかっていない。

ハンガリー・エトヴェシュ・ロラーンド大学のGábor Ráczさんたちはコンピュータシミュレーションによって、時間の経過に伴う宇宙の構造の変化を研究し、ダークエネルギーの存在がなくても宇宙の加速膨張が説明できる可能性を示した。

正体不明のダークエネルギーを想定することで、宇宙の加速膨張を説明してきたわけだが、別の理論で説明可能となると、ダークエネルギーの存在そのものもが怪しくなってしまう。

宇宙論にとっては、これは大問題。

加速膨張は私たちの宇宙の「内部」の要因によって起こっている……という前提なので、それを説明するためには内部の現象から考えなくてはならない。
ようするに、わからないことが多いってことだね。

ダークエネルギーが起こしていると思われている影響が、内部ではなく外部からだったら?……ということだって想像できる。
宇宙は泡(バブル)のようなもので、複数の宇宙が存在している可能性も理論としてはある。
我々の宇宙の泡と、別の宇宙の泡が隣接しているイメージ。図にすると以下のような感じ。

宇宙の泡

いわゆる多元宇宙論の泡モデル。
それぞれの宇宙は独立しているが、重力の影響はある。他の宇宙に囲まれた我々の宇宙は、重力で引っ張られるから、外の宇宙に“落ちていく”ことで、膨張が加速しているように見える。

銀河同士の衝突と合体の現象もあるのだから、宇宙の衝突と合体もあるのかもしれない。ただ、時間スケールが数兆年だとすれば、人間にはほぼ観測不可能なレベルだろうけど。

蛙は井戸から出ることができないので、外がどうなっているのか、永遠に知ることができない。
井戸の外に川や海があっても、知るよしはないし、雨がどこから降ってくるのかもわからない。
ダークエネルギーの正体や有無も、私たちは知ることができないのかもしれないね。

▼宇宙の大規模構造を3Dで再現した動画

諌山 裕

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