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会社勤めであれば、家で過ごす時間よりも、会社で過ごす時間の方が多くなる。残業が多ければなおさら。

私の場合、9時間~12時間くらいは会社にいる。なるべく残業はしたくないものではあるが。
で、会社にいれば会社の同僚たちと、同じフロアで仕事をするわけだが、大なり小なり人間関係が生じる。その関係が円滑であれば、仕事もやりやすいのだが、それが難しい場合もある。

会社の同僚……という関係は、なにかと微妙だ。
会社だけでしか顔を合わせない人、仕事以外でも趣味などのつきあいのある人、家族ぐるみのつきあいのある人、あるいは名前と顔は知っているが、まったく接触のない人……等々、その関係には「距離」がある。
その距離感が、会社での仕事のモチベーションになったり社風になったり、逆に会社がイヤになったりする。

私は5回の転職をしているので、5つの会社の社風に接してきた。
5社5通りで、会社を構成する人たちが違えば、社風も必然的に変わる。
大別すると2つ。

●家族的な雰囲気で、プライベートでもつきあいがある場合。
●会社以外ではまったくつきあいのない場合。

居心地の良かったのは、前者の家族的なつきあいがあった会社だ。上司と部下という関係に縛られずに、家族でのつきあいがあったから、私の親も会社の人たちと面識があったし、先輩の奥さんや子どもたちとも面識があった。

そんな同僚たちと、会社の行事としてではなく家族連れでキャンプに行ったり、野球チームを作ったりもした。
楽しい会社だった。
辞めることにしたときには、悩んだ。離れがたいものがあったからだ。それでも辞めたのは、上京して、自分の夢だった仕事がしたかったからだった。

今現在、勤めている会社は、どちらかというと後者の、会社だけでのつきあいだ。
少人数の会社だが、古くからのつきあいのある人たちが中心となっている会社で、私は途中入社の新参者。

古株の人たちはプライベートでのつきあいも濃いようだが、途中入社の人間はその輪の中には入れない……というか、入り込めない。
私以外にも途中入社の人はいるが、同様の扱いだ。古株の人と新参者という二分された境界線が、目には見えないが引かれている。
そのため、古株組と新参組でグループが分かれてしまっている。

これは組織としてまずい傾向だ。

実際、私が入社したときの同期の人や、その後に入社した人が次々に辞めてしまっている。私と机を並べていた若い人も、2人辞めた。彼らとは、その後もメールでときどき連絡を取っているのだが、辞めることの原因になった理由のひとつには、やはり社内の人間関係のことがあったようだ。
社風になじめない、疎外感がある……そんな風に感じていたのだろう。

1日の大半の時間を過ごす職場の雰囲気というのは、生活していくのに欠かせない収入源であるというだけでなく、健康的にも精神的にも重要だろう。

私の妻は、以前勤めていた会社でパワハラに遭い、精神的にまいってしまって心療内科に通うことになったことがある。
職場での人間関係……距離感というのは、無視できない要素なのだ。

男性だけの職場、女性だけの職場というのがないわけではないが、たいていは男性と女性がいる。男女比率はそれぞれだろうが、男女がいれば、男女の距離感というのもある。

これは同性の同僚とは違って、もっと微妙な距離感になる。

私の両親は職場結婚なので、ただの同僚の関係ではなく、男女の距離感が縮まった結果だ(^_^)。
男と女がいれば、それが同僚から友達に、友達から恋人に、そして夫婦に……と発展することは珍しいことではない。男女が既婚者だったら、愛人ということになるのだろうが(^_^;

そんな男女の距離感に関する記事があった。

社内不倫、そして辞職。アラフォー女性の“本音”と“愛着”:日経ビジネスオンライン

 そもそも同じ職場、同じ部署というだけで、関係が深まる条件は高くなる。

例えば心理学者のリン・カーン・ケーゲルは、1人の男性と2人の女性の3人で会話をしてもらうことで、「距離が相手に与える影響」の実験を行った。

実験では、1人の女性は男性と50センチの至近距離に、もう1人の女性は2メートル程度離れたところに立って、3人で共通の話をしてもらった。その結果、男性は近くにいる女性の方に、より好感を持つ傾向が認められたのだ。同じ実験を女性1人と男性2人でやった時も、同性3人で行った時も同じ結果が得られたのである。

なるほど、わかる気がする。
隣の席の人の方が、一番遠い席の人よりも話をする機会も多いし、関係としても近くなるものだ。

社内恋愛はあり?」でも書いたが、男女に関することでいえば、いつもランチを一緒に食べるというのは、同僚や友達以上の関係だろうと思う。というか、そういう風に見えてしまう。
ランチのときは、隣の席か向かいの席に相手がいて、間近で食事したり話をしているわけだ。

食事……というのは、特別の意味と役割がある。
食欲を満たすときの満足感(快楽)と、性欲を満たすときの快楽は、同等のものだからだ。脳の中では、同じ領域が快楽を覚えている。

つまり、極論すると、一緒に食事をするということは、エッチをすること(あるいは、その前戯)に等しいともいえる(^_^)。
デートに誘うときに、食事をともにするのが定番なのも、無意識のうちに食欲と性欲が結びついているからだ。

社内の人間関係……距離関係を見ていて、思い当たることもあるだろう。
あの人とあの人、最近、いつも一緒にランチに行ってるな……とか。あの二人、いつもそばにいるな……とか。

実際はどうなのかはともかく、そういう関係を想像させる人は、うちの会社にもいる(^_^)。
おそらく、そう思っているのは私だけではない。
というのも、先に挙げた辞めてしまった隣の席だった人と、そんな話をしていた。
「Y氏とAさんって、内縁の夫婦みたいだよね。しかも、Y氏とHさんも一緒にランチに行くから、愛人なのかね?」
そんなうわさ話(^_^)

彼らはどう見られているかは知らないのだろうが、私と隣の席だった人が同じように感じていたのだから、他の人もそんなふうに察しているのではないかと思う。
そんな前提で観察すると、彼らの距離の近さが納得できる。
「やっぱ、男と女の関係だよね」と。

と、社内恋愛をするときに、オキテがあるらしい。
その記事が以下。

[第6回] 社内恋愛のオキテ – PRESIDENT – プレジデント

ということで、私が考える「社内恋愛のオキテ」は、
「徹底的に隠す」ことである。

ここで重要なのは、「徹底的」というところである。

隠しているつもりで、まわりが気づいていると、全く意味は無く、逆にぎこちなくなる。知っているのに、知らないふり、というほどやりにくいことは無い。

とにかく気付かれない。
これが重要である。

なかなか難しいオキテだと思う。
赤の他人のフリほど、難しいものはないからね。
距離が近いほどに、親密であるほどに、無意識に本音が出てしまうものだ。

あなたの周りではどうだろうか?
人間観察の視点を変えると、なかなか面白いものが見えてくる(^_^)。

諌山 裕

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