売れるゲームと売れないゲーム

 最近はゲームをしなくなった。
 時間がないからでもあるし、ゲームを買う余裕がないからでもある。
 可処分所得は限られているから、優先順位でどのへんに位置するかで、買うものが決まる。
 どうしても見たい映画は、食費を削ってでも見に行くし、欲しいCDは外食1回分を当てて買ったりする。

 制作者が「ゲームが売れない」と嘆いている記事が以下。

「まだ死にたくない」――Wiiゲーム開発会社が「魂の叫び」 – ITmedia News

「どのソフトもギリギリの時間と予算の中で、制作者・開発者ともに精魂込めて作り上げ、胸を張って世に送り出したタイトルたちで、実際にどれもすばらしい評価をいただいた」という。

 だが売り上げは評価に比例していないようで、「本当に不思議。全部のタイトルが同じような出荷本数です。しかもそんなに高くない」という。「もう本当に涙目。泣きそうです。夢にも出てきます」と嘆きつつ、「いろんな意味でまだ力が足りないのでしょう」と自省する。

 「売れるゲームは、いいゲーム」……という見方はできるかもしれないが、「いいゲームだと自信があるから、売れるはずだ」とはならない。
 往々にして、自画自賛は大切なことを見落としているものだ。
 件の「王様物語」のサイトに行って、どんなゲームなのかと概略を見てみたが……
 私だったら、このゲームは買わない(^_^;
 買いたいという衝動が起きないからだ。
 新作ゲームが10本並んでいたとして、10本全部買えるわけではないし、その中からどれかを買うとしても、せいぜい1本。
 どれを買うかは、自分がどんなゲームを欲しているかによる。
 話題性のあるゲーム、新鮮味のあるゲーム、待ち望んでいたゲーム……等々、選択の要素はいろいろだ。

 よくあるRPG……というのが「王様物語」の印象だった。
 なにかを期待させる「おっ」という引きが乏しい。
 それはキャラクターであったり、世界観であったりするが、及第点ではあっても突出したものがない。
 厳しい言い方だが、制作者が精魂込めていいゲームを作るというのは、当たり前のことであって、そうした努力は買う側のユーザーには関係ないことだ。
 無難にまとめてある……というのは、好意的にとらえれば良い評価だが、「悪くはないが」というマイナス評価にもなる。

 邪推だが、「売れるゲーム」を作りたいのか「評価の高いゲーム」を作りたいのか、どっちなのだろうかと思った。
 両立すれば万々歳だろうが、小説や映画などでも評価の高い作品がベストセラーになるわけではない。
 酷評されても、売り上げ的にはヒットした作品は存在する。それは「買ってみたい」「興味がわいた」と、消費行動をくすぐる要素があったからだ。
 「王様物語」に欠けているのは、「くすぐる要素」ではないだろうか?

諌山 裕

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