目が離せないと同時に、耳も離せないのが「マクロスF(フロンティア) 」
なんといっても、楽曲が素晴らしい。
アニメ批評:「マクロスF」 シリーズの集大成 25年ものオマージュ満載(まんたんウェブ) – 毎日jp(毎日新聞)
それでいて本作はノスタルジーに浸ってはいない。例えば、敵の生物が「歌」に反応しないシーンがあるが、この世界でかつて「歌」が人類を救ったと知れば、主人公達の意外そうな表情への理解も深まる。
初代マクロスで音楽を担当したのが、故羽田健太郎氏だった。
TV放映当時、作画クオリティの高い回と、海外に外注した低レベルの作画とのギャップが、話題と議論の的になった。のちに多少の手直しはされたが、手抜き以上のなにものでもなかった。本来なら、それでファンにはそっぽを向かれるところだが、高いレベルの部分から「こうなっていたはずだ」と想像で補ってストーリーだけを追っていた。
本格的なSFアニメとしての期待の高さや、「スタジオぬえ」が関与していたことから、ファンはあたたかく見守っていたのだ。少なくとも私は(^_^)
安定しない作画レベルと、どうかすると陳腐なストーリーだったが、「歌が宇宙を救う」というハチャメチャな展開を、素晴らしい音楽が本当に救った。
以後の続編となるシリーズやOVAでもその基本は続いたが、音楽の力が弱かった。耳に残る楽曲がなかったのだ。
それを払拭したのが「マクロスプラス」で、音楽は「菅野よう子」が担当していた。
そして、マクロスFで再び菅野よう子氏が音楽を担当し、物語の中だけでなく実際にヒット曲を連発している。
菅野氏はアニメの音楽を多く手がけているが、作る曲のバリエーションは豊富だ。歌謡曲風のものからロック調、あるいは重厚なクラシック調までなんでもこなしてしまう。しかも、そのどれもがなかなかいい曲なのだ。
マクロスFでの最初のOP曲である「トライアングラー」は、ちょっと懐かしい歌謡曲風のアレンジになっている。それはたぶん意図的なのだろう。
シェリル・ノームが歌う曲は、バラードありパンク風ありと多彩な変化を見せている。「射手座☆午後九時Don’t be late」は、詞もすごいが曲はさらにカッ飛びだ。
ランカ・リーのデビュー曲となった「星間飛行」は、飛行するバルキリーの機上から歌っていた。
そこで歌うか?……というむちゃくちゃな展開だが、音楽が流れはじめるとそんな無理がぶっ飛んでしまうくらい「いい曲」だった。
まさに音楽の力が、作品のクオリティを高めている。しかも、どれもいい曲ばかりなのだ。
菅野よう子は奇才だ。
それだけは間違いない。