ダビング10がようやく始まった。
とはいえ、このダビング10はあまり役に立つ機能ではない。
同じ番組を複数枚コピーするような使い方をする人は、そんなに多くはないだろうからだ。また、現状ではBlu-rayのディスクが高く、何枚もダビングするほどにはお手軽ではない。
私は面白かった作品はBlu-rayにダビングして録っているが、それは何度も見るためではなく、消してしまうには惜しい……という動機からだ。ハードディスクにはいつまでも入れておけないから、外に吐き出すためでもある。
ダビング10が有効になるのは、7月4日以降、レコーダーがソフトウエアダウンロードで更新されてから録画されたものに対してのみである。つまり、それ以前に録った番組は対象外なのだ。
これについても「なぜ?」と、不満に思った。
放送はデジタルの時代に移行しつつあるが、厳しいコピー制限を設けているのは日本だけである。日本製アニメは海外でも人気となっているが、海外ではコピー制限はない。日本のユーザーだけ、不自由な環境を強いられているのだ。
これはTVのガラパゴス化だ。
それに関連した記事。
アナログ波停止まで余すところ3年 ~アナログ放送の終わりは、テレビ世代の終わり (nikkeiBP on Yahoo!ニュース)
では視聴者が番組を録画することで、その後のビジネス、例えばDVD販売に影響があるのだろうか。それについては、社団法人 日本映像ソフト協会が今年3月に公表した調査資料がある。
これによれば、DVDソフトの購入が減った理由の第一位は、「欲しいソフトがない」で、約半数に上る。要は、プレミアム感は広告料を上げるためだけに機能し、二次使用のニーズはあるのに、それに応えていないわけである。
その一方で、「TVでの放送を保存用に録画することが増えた」からDVDを買わなくなったという人は、洋画で7.8%、邦画で9.4%、アニメに至っては0%である。つまりテレビを録画して保存することは、DVD販売ビジネスにはほとんど影響を与えておらず、特に日本のコンテンツの稼ぎがしらであるアニメでは影響がゼロという結果がでている。一生懸命コピー制御などしても、無意味だったのだ。
動画サイトでもTV番組のコピーが排除されるようになったが、権利者団体は権利を過剰に主張するあまり、逆に人気上昇やヒットの機会を失っているともいえる。広く認知されてこそ、販売の機会が生じるのだし、動画サイトは無料で広告してくれる媒体でもあったと思う。
DVDなどのコンテンツを購入する人は、かなりコアなファンたちだ。違法コピーをする人たちは、ほんの一握りでしかない。ユーザーのすべてを「悪」とする前提の権利者団体の発想は、ユーザー軽視ではないだろうか。
世界に対する対処と、日本国内に対する対処でまったく正反対の姿勢は、ダブルスタンダードだ。もし、外国に対しても同様の要求をすれば、猛反発を食らうことは確実だろう。
世界の潮流は、クリエイティブ・コモンズである。
日本はそれに逆行しているように思えてならない。
権利、権利と、なにがなんでもむしり取ろうとする方法では、ユーザーはますます離れていくような気がする。