「デザイン業界の暗部」の続き。
問題噴出だった五輪エンブレムが、使用中止になるようだ。
佐野氏デザインの五輪エンブレム使用中止へ 組織委が方針固める ― スポニチ Sponichi Annex 五輪
佐野研二郎氏(43)がデザインした2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ていると指摘されている問題で、大会組織委員会が使用を中止する方針を固めたことが1日、分かった。決定した五輪公式エンブレムを見直すのは極めて異例の事態となる。
別の記事では……
舛添知事、佐野氏に「裏切られた」 「スポンサーから不満」と都議会関係者 ― スポニチ Sponichi Annex 五輪
別の幹部は「先週、組織委が原案を示し、盗用を否定したばかり。あの記者会見は何だったのか」と首をひねった。ある都議会関係者は「一部のスポンサーから不満の声が漏れていたと聞いていた。それがこの判断に影響したのだろうか」と話した。
スポンサーからしたら、疑惑まみれのダーティーなイメージでは、使いにくいよね。
オリンピックは、スポーツマンシップの祭典でもあるわけで、クリーンなイメージは重要だと思う。言い換えるなら、ドーピングが発覚したようなもの。意図したドーピングではなく、治療のために飲んでいた薬が原因だったとしても、ドーピング検査に引っかかれば失格だからね。
改めて公募するのであれば、受賞歴などの資格を設けず、デザインの心得のあるものなら誰でも応募できるような選考方法にしてほしいところ。
「参加することに意義がある」というオリンピック精神の原点に戻って、エンブレムの公募も、みんなが参加できるようにするといいように思う。
そうすると、数千~数万点の応募があるかもしれないが、予備選考は専門家がやるにしても、100点くらいを候補作として選んで、あとはネット投票などで一番人気を選べばいいんじゃないかな。
それにしても、2回に渡る釈明会見はなんだったんだろうね。
選考委員に選考の資格がなかったことを露呈したようなものだ。
国立競技場の問題といい、エンブレムの問題といい、日本の政治経済の混沌とした状況が遠因にあるように思えてならない。方向が定まらない、決めることを決められない、日本の未来はどうなるのか……といった、社会的な不安要素を連想してしまう。
デザイン業界の内輪話としては、あのエンブレムを展開する広告や商品等の仕事を手がけているところは、その後始末が大変なのだ。うちの会社でも、それにちょっと関わっている。使用中止が正式に決定すると、対応に追われることになる。
それはそれで気が重い。