【レビュー】フォー・オール・マンカインド|Apple TV+

順番は前後するが、「アトラクション」の前に見たのが、「フォー・オール・マンカインド」だった。
シーズン1からシーズン2まで一気見。
なかなか面白かった。

フォー・オール・マンカインド – Wikipedia

あらすじ

1960年代後半の宇宙開発競争の結果、NASAは初の有人月面探査を行う偉業を成し遂げたが、本作では”もし宇宙開発競争が終わらなかったら?”という設定のもと、宇宙開発に携わる人々を描く。

ソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオノフが人類初の月面着陸を果たす。この結果、NASAの士気を壊滅させるも、アメリカの努力に拍車をかけることになる。ソ連がその後の月面着陸に女性を含めることで多様性を強調したため、アメリカはこの数十年間の宇宙開発からほとんど排除されていた女性やマイノリティを訓練することを余儀なくされる。

SFのジャンルとしては「歴史改変もの」あるいは「ifもの」になる。
歴史の分岐点で、違う結果になったらどうなるか?……という話。

1960年代の月を目指すレースは、アメリカとソ連のどっちが先かを争っていた。
結果はアメリカだったわけだが、ソ連は月の有人探査から撤退した。
このドラマでは、逆の結果の世界を描いている。

現実の世界では、月レース後のアポロ計画は17号で終了するのだが、「フォー・オール・マンカインド(以下、FAM)」では計画は続行され、シーズン2の終盤では70号番台まで進んでいた。
そして、月面に恒久的な基地が建設され、多くの宇宙飛行士が月に滞在していた。その目的は火星を目指すことだ。

これは20世紀に計画され、21世紀に実現するはずだった未来予想図である。
しかし、月面基地はいまだ存在せず、火星に人間を送ることも実現していない。
アポロ計画が終了した一因は、金がかかりすぎることだったが、FAMでは資金問題は解決されたようだ。

ソ連側も月面基地をアメリカ基地に近いところに建設したため、月面で武力衝突することになった。
近いところに基地を造ったのは、水が存在する南極のクレーターがあったためだが、それならほかにもありそうだけどね。
それはともかく、月面での銃撃戦はありそうでなかった展開。ちなみに、通常の銃は空気のない宇宙空間でも使える。火薬の中に酸化剤が含まれているので、発火することが可能。

時代が1960年代から80年代なので、当時のヒットソングがBGMとして使われているのが懐かしかった。歴史は改変されたが、ヒットソングは変わらなかったということか。

宇宙開発ものとして、その裏側というか普段は見られないシーンがあったりして、そこは参考になった。
月の次は火星と意気込んでいた20世紀。
計画は中断、停滞、頓挫して、月面基地すらまだ遠い。

シーズン2のラストは悲しい結末で、涙を誘った。
その最後の最後に、火星が出てくる。

そして、待望のシーズン3は6月20日に配信開始と予告されている。
楽しみだ。

諌山 裕

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