なにかと「自然」がもてはやされる。
「地球にやさしい」とか「エコ」とか「自然食」とか「無農薬」とか……
だが、自然は都市生活をする人間にとって、快適とは限らないのだ。
Yahoo!ニュース – 毎日新聞 – 丹沢が泣いている:/4 ヤマビルの勢力分布 /神奈川
昨年5月下旬の午後6時半。松田町の森で、山岳ガイドを目指す20~60代の男女18人がビバーク(露営)の訓練をはじめた。小雨が降り、蒸し暑い夜だった。
シートを敷いて横になって3分もしないうち、参加者の一人が騒ぎ出した。「ヒルがいる」。ヘッドランプの明かりで見回すと、ほとんどの参加者のシートにヤマビルがいた。首筋がヌルヌルするのは汗かと思っていたら、血だった。数人の首に体長2センチのヒルが吸いつき、傷口から血が流れ出していた。ヒルは払っても払っても減らない。1時間の予定だった訓練は、わずか15分間で中止された。
この記事に笑ってしまった。
そんなことでガイドが務まるんだろうか?
そもそも山には、ヒルを始めとして、蚊、蝿、蜂、ダニ、クモなどの虫や、蛇、トカゲ、ヤモリ、イモリなどのは虫類や両生類がいるのは当たり前。それらの多くは、気持ちのいいものではないし、時には人に害を及ぼす。
だが、それが「自然」なのだ。
豊かな自然とは、人間が毛嫌いする動植物にとっても「楽園」となる。
子どもの頃、実家の裏は山だった。
そこで遊んでいた私には、それらのことは周知のことだった。
現在では、切り開かれて住宅街になってしまったが、昔はそこに嫌われる生き物たちがたくさんいた。
犬の散歩で山に行けば、犬に巨大なダニが付いてくることがあった。だから、散歩から帰ったら、犬の毛並みを梳いて、チェックする必要があった。
落ち葉のある地面は、見た目は葉っぱを敷き詰めた絨毯のようで綺麗だが、ちょっと掘ってみれば、ミミズや虫たちが出てくる。そんなところに座ったり寝たりはしない。それは常識なのだ。
人に都合のいい自然は「自然」ではない。
そのことを忘れてしまっていると思う。