勝ちが必要だったギリシア戦でドロー。
サッカー評論家のみさなんは、ここぞとばかりに叩いているのだが……
ギリシャ戦ドローにセルジオ越後氏「“自分たちのサッカー”とはこの程度。日本はどの国よりも未熟」 – サッカーキング
「『自分たちのサッカー』がどうこうというフレーズが騒がれているけど、一つ答えを出すとすれば、今日のこの試合で見せたプレーが、まさに『自分たちのサッカー』だよ。本来の力を出せていないのではなくて、これが世界における我々の本来の力なんだ。そこを見誤っては成長がない。他の試合をよく見てほしい」
セルジオ氏のいうことは、そのとおりだよ。結果論からいえばね。
メディアが盛り上げようとして、日本代表を持ち上げているのは、営業的な戦略もあるから、そのへんは割り引いて見る必要がある。
冷静なサッカーファンは、もとより楽観的な予想はしていなかったと思う。
もちろん、期待はした。
期待しないと、楽しめないじゃないか。
弱い日本が、強敵を倒すという、ジャイアントキリングを期待したんだ。
グループリーグの対戦国は、みんな日本よりは格上だ。
FIFAランキングが実力を反映していないにしても、力量を比べる上で物差しにはなっている。
ギリシアは12位、日本は46位。
それほどの格上に対して、引き分けた……とすれば、善戦したという評価もできる。セルジオ氏流にいえば、はるかに格下の日本に勝てなかったギリシアの方が問題だろう。
直前のテストマッチで、格下に勝ったくらいでいい気になるな……というようなことを、セルジオ氏はいっていたが、格上とドローなんだからもっと評価してもいいのでは?
「他の試合をよく見てほしい」というが、スペインやイングランドは2連敗した。それはどう見るのだろう?
相手が強いというのはあるが、スペインから見れば格下に負けている。FIFAランキングの10位以内は、力が拮抗しているとはいえ、ランキング1位は伊達じゃない。それでも負けてしまった。
グループリーグでは、強いチームでも負けることがある。逆に、弱いチームが勝つこともある。
それが短期決戦のワールドカップでもある。
ただ、弱いチームが勝ち上がって優勝することは、まずないとはいえる。
『自分たちのサッカー』という言葉がひとり歩きしているのだが、私は「自信を持ってプレーする」と解釈している。
サッカー強豪国には、それぞれにスタイルがある。日本には、まだ確固たるスタイルは定着していない。それを模索しているのが日本代表の現在地だろう。
選手たちは、その理想型として『自信を持って自分たちのサッカーをする』といっているように思う。
南ア大会では、「引いて守って、失点しないように戦う」戦術で、16強まではなんとかいけた。運がよかった面もあるが、その戦術に限界を感じたのは、出場した選手たちの実感であり危機感だったのだろう。
攻めるサッカーを指向しているのは、間違ってはいない。ただ、いまだスタイルとして確立されていない。
今回のW杯では、勝ったチームの得点数が多く、逆転試合も多い。攻めのサッカーがトレンドになっているといえる。そういう意味では、日本の選択は必然でもある。悲しいかな、日本には点取り屋の強力FWがいない。Jリーグ得点王の大久保がいても、ファン・ペルシやドログバに比べると、並のFWになってしまう。
「本来の力を出せていないのではなくて、これが世界における我々の本来の力なんだ。」……というのは正しいと思う。セルジオ氏は、そんな現状で優勝を目指すなどちゃんちゃらおかしい、といいたいのだろう。
ならば、自分たちの実力を自覚して……
「われわれは未熟で弱い。W杯に出られるだけで光栄だ。謙虚に、精一杯がんばろう。格上相手に勝てるわけはないのだから、ひとつでも勝てれば、いや、引き分けでも大成果だと思う」
……と、選手たちが発言すればいいのだろうか?
現実的な発言だし、身の程をわきまえているとはいえる。
そういう姿勢であれば、セルジオ氏も辛辣な批判はしないのかもしれない。
しかし、そんな弱気だと……
「優勝を目指すくらいの気概を持て!」
……と、逆のことをいいそうだが(笑)。
残り1試合のコロンビア戦。
絶望的な状況ではあるが、ミラクルはありえる。他のグループでは、番狂わせが起こっているのだから。
未熟な日本代表チームは、凡庸な私たちの化身でもある。
実力は足りない、経験も乏しい、メンタルも弱い、それでもがむしゃらに立ち向かう。
不可能かもしれない「夢」に向かって。
だから、応援する。
自分自身のことのように。
がんばれ、ニッポン!
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セルジオ越後氏はカズ、名波や長谷川健太世代が無名の子供のころから地元で彼らを直接指導し見続け、その当時の少年サッカー解説もしてきた方です。今、日本サッカーはサッカー協会やTV局や電通やアディダスなどの会社が牛耳っているのかもしれませんが、セルジオ氏はそういったしがらみとは関係ない昔から一貫した姿勢で日本サッカーを応援してきていると思います。うまく言えませんが、草の根レベルからの応援とでも言いましょうか、日本サッカーに対する愛は間違いないと思います。