「ビットコイン」が、水面下(あるいは地中か?)で話題になっている。
だが、関連する記事を読んでいると、なんだか違和感というか、現実離れした遊離感を覚えてしまう。
これはリアルな世界のことなのか?
まるで、ギブスンの「ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)」を読んだときに感じた、とらえどころのない世界を見ているような気分になる。
以下の記事も、読んでいて、途中から小説の一部のような感覚になってきた(笑)。
仮想通貨人気でビットコイン類似通貨が次々登場 – WSJ.com
電気エンジニアのゲーリー・トマス氏は仮想通貨でもうけようと計画している。しかし、それはビットコインではない。彼はアルファコインやファストコインといった新しい仮想通貨に大きく賭けているのだ。
トマス氏は今年に入ってボストン郊外の自宅で仮想通貨の取引を始めた。かつてドット・コム・バブル時のインターネット銘柄への投資は大失敗に終わったが、今の仮想通貨取引が金持ちになる切符だと確信している。
なんだか……目眩がする(苦笑)
ビットコインを「採掘する」というのも、不思議だ。
仮想世界……電子の世界からビットコインを掘り出す。
もう、SFの世界というか、サイバーパンクの世界。
それが、リアル経済やリアルマネーに換金できるという理屈は、ますますわけがわからない。
お金は、国家が発行する物だから、発行する国家によって信用が保証される。しかし、ビットコインは国家を介さずに、どこからともなく湧き出てくる……ように見える。
実体のない「お金」
理論とコンピュータによって生み出される「お金」
ゲームの世界なら仮想通貨はありふれたものだが、所詮オモチャのお金と同じだ。ゲームの中だけでしか通用しない。
しかし、ビットコインはネットを介したリアル経済の中で流通している。
リアル経済そのものがゲーム化しているようなもの。
ビットコインで儲けようとしている人たちがいる……というのも驚き。
まだあまり注目を集めてはいないようだが、ネットの水面下で、とんでもないことが進行しているような気がする。
ビットコインを採掘するには、処理能力の高いコンピュータが必要とされるらしい。
それこそ、スパコンを投入すれば、金鉱を掘り当てることも可能なのかもしれない。
スパコンの話題では、中国のスパコンがランキングで連覇したというのがあった。
スーパーコンピュータ「TOP500」、中国の「天河2号」がいきなりトップに 「京」は4位 – ITmedia ニュース
スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」最新版が6月17日(現地時間)に公開され、中国国防科学技術大学(NUDT)の「天河2号(Tianhe-2)」が33.86ペタFLOPSを記録してトップになった。実効性能は前回(2012年11月)首位だった米オークリッジ国立研究所の「Titan」(17.59ペタFLOPS)の約2倍だ。
最近のスパコンは、既存のCPUをなるべくたくさん並列させて、物量で圧倒したところがトップに立つという感じ。1つ1つのコアの処理能力を飛躍的に向上させるのではなく、質より量になっている。量子コンピュータが実用レベルになるまでは、物量で処理能力を上げるしかないのかなと思う。
中国の「天河2号」にしろ、日本の「京」にしろ、科学分野で利用することを前提としていると思うが、ビットコインの採掘に利用したらどうなるのだろう?
おそらく、既存のビットコイン採掘者とは桁違いの能力を発揮するはず。
発掘したビットコインが、リアル経済にも反映されるとしたら、財政赤字が埋められる……なんてことは、ありえるのだろうか?
そんなことが起こるとしたら、世界の経済はとんでもないことになりそうだ。
ビットコインが世界に浸透していって、リアル経済にも普及し、取り引きが当たり前に行われるようになると、世界経済は激変するのかもしれない。
どこの国の通貨でもない、通貨。
それとも、一過性のブーム……夢の通貨で終わるのか?
この分野では、アメリカはかなり進んでいるようだ。
対して日本では、なにも起きていないに等しい。
この温度差は、かなり大きい。
ビットコインのニュースを見ると、「怖れ」すら感じる。
これが現実に起きていることだということが、感覚的に信じられないからだ。まるで悪夢を見ているようだ。
もしかしたら、「ビットコインを制する者が、世界を制する」……なんてことになるのかも。
「ビットコインについての様々な誤解」に続く。