前宣伝のあおりがすごかった、Nスペの新型コロナ関連番組。
AIで論文を解析して出てきた答えは……という触れ込みだった。
結論からいうと、「その程度なのか?」と残念な結果に。

新型コロナの症状100種類以上 AIで世界の論文を解析した結果 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

世界中の新型コロナウイルスに関係する論文、およそ20万本をNHKがAI=人工知能を使って解析したところ、新型コロナウイルスの感染で、これまでに少なくとも100種類以上の症状が報告されていることが分かりました。

NHKは、今月初めまでに世界中で公表された新型コロナウイルスに関する英語の論文、およそ20万本をAIに学習させて分析するプロジェクトを進めてきました。

そもそもNHKのいう「AI」とは、なんなのか?……という問題。
20万本の論文を解析したそうだが、どう解析したのかがよくわからない。
キーワードを拾ってるだけなのか、内容というか文脈をAIが「理解」して解析しているのか、AIのレベルが不明。

AIがどういう処理をしているかで、出てくる答えも違ってくる。
その処理方法についての説明はほとんどなかった。
まるでAIが神託を告げるがのごとく、「すごいですね」と爆問にいわせてるだけでは心許ない。

紹介された解析結果とおぼしきものは、特に目新しいものはなく、画期的なものはなかった。
その程度のことにAIを投入する意味はあるのか?……と思った。
結局のところ、既知の論文を網羅的に検索して、そこに書かれていることの統計的なキーワードの出現頻度から、これが有力な理論……と導いているだけのようだ。

AIは論文に書かれていること以上のことは考察することはできず、誰も思いつかないような新理論を発見したわけではない。
そもそも、現在のAIにそんな超越的な能力はない。
だから、新鮮味はないのだ。

ちょっと期待していたが、つまらない番組だった(^_^)b

そんな中でも、ひとつ注目したポイントがあった。
アメリカの病院で行われた、マスク効果についての検証だ。
ひとりの感染者がいて、特に隔離などはせずに、医療従事者は全員マスクを徹底し、どれだけ感染するか……という、日本ではできそうにない検証。

この状況で3週間後……

38人中13人に感染。感染率は約34%で、3分の1が感染したという。
この検証について強調していたのは、マスクによって吸い込むウイルス量が減り、「微量感染」したことで免疫を獲得できた……ということだった。

ここで「微量感染」という、聞き慣れない用語が出てきた。
マスクは免疫を獲得するのに役立つ」との結論だった。

いやいや、ちょっと待ってくれ。
プラスイメージで締めくくっているが、この検証で明らかになっているのは、医療従事者のように厳重なマスクとゴーグルと防護服の装備をしていても、感染してしまうということなのだ。

「マスクは感染予防にはならない」というのが、もうひとつの結論ではないのか?
なぜか、その点はスルーなのだ(^_^)b

医療従事者が使うサージカルマスクでも感染率は約34%なのだから、一般人が使う性能の低い不織布マスクや布およびウレタンマスクは、もっと防御率は低い。
現状、マスク着用の呼びかけで、マスクの種類は特定されていない。
マスク効果を最大限発揮するには、最低でもサージカルマスクと限定しないと、対策をしているようで対策になっていないことになる。

ファッション性を優先した布マスクやウレタンマスクに、予防効果は期待できないと明言したらどうか?
サージカルマスク限定にしないと、「予防対策を徹底」にはならないよ。

このマスク効果の実験では、マスクをしていても感染するということについて、誰もツッコミを入れなかったのが気になった。

諌山 裕

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