宇宙観がひっくり返るような新理論。
ブラックホールの概念というか定義が根本から変わってしまう。
この理論を、観測で確認することはできるのだろうか?
「事象の地平面」なんてなかった? ブラックホールに新理論、理研が発表 “情報問題”にも筋道 / ITmedia NEWS
ブラックホールには一度入ったが最後、光さえも脱出できないほど強い重力がかかる領域の境界「事象の地平面」があるといわれている。しかし、理化学研究所はこのほど「ブラックホールは事象の地平面を持たない高密度な物体である」とする、これまでの通説とは異なる研究結果を発表した。
(中略)
研究チームの理論では、重力でつぶれていく球状物質をたくさんの層の集まりと見なす。各層は粒子からなり、ある層の粒子を中心へ引き寄せる重力はその層より内側にある物質のエネルギーによって決まる。そのエネルギーから計算できるシュワルツシルト半径は、ホーキング放射によってエネルギーが減っていくため時間とともに小さくなる。
このとき、落下してきた粒子がシュワルツシルト半径の近くまでやってくると、落下と蒸発の効果が釣り合うために、蒸発が先に生じている分だけシュワルツシルト半径の内側に届かないという。
この現象が球状物質のあらゆる所で起きるため、物質全体が収縮し、中身の詰まった高密度な物体ができる。特に一番外側の層はシュワルツシルト半径の外側にあるため、ブラックホールは「通常の星のように表面を持ち、事象の地平面を持たない高密度な物体」だと研究チームは指摘する。また、この理論解析の解には「特異点」(エネルギー密度や時空の曲がりが無限大となるブラックホールの中心)も現れなかったという。
どひゃ〜〜っと、ビックリの理論とイメージ。
理論のひとつではあるが、この説が正しいとすると、ブラックホールを扱ったSFのほぼ全部が書き換えだな。
逆に、この理論を使った新しいブラッホール像を描写するハードSFが書ける。
きっと誰かが書くだろうな……というか、書いて欲しい
日本だったら、書けそうなのは小松左京(故人)、石原藤夫、堀晃あたりだが、絶筆してるしね。もっと若い作家では、ハードSFを得意としている人は……あまりいない。
海外では、アーサー・C・クラークが存命だったら、絶対書いてると思う。グレゴリー・ベンフォード、グレッグ・ベア、デイヴィッド・ブリンなどは書きそうだけど、もう歳だしね。
最近の作家は、あまり印象になくて、思いつかない(^_^)b
日本はライト系が多いし、海外でもハード系は少なくなっている。
寂しい限り。
従来、ブラックホールは光すら脱出できない(つまり情報を出さない)ため、真っ黒で光学的・電磁的に観測できないとされてきた。観測手段は重力波のみ。
ブラックホールを撮影したと話題になった「イベント・ホライズン・テレスコープ」は、ブラックホールの周りの降着円盤を撮影したものだった。
ブラックホールがホーキング放射を行っているとすれば、情報は出てきているわけで、ホーキング放射を観測するという手段もなくはない。ただ、その熱的な放射は、極めて低い温度なので、周囲のノイズから選り分けるのは困難。
「事象の地平面」がない……というのは、かなりショッキングな理論。これをネタにしたSFは多かったからね。
それを拡大解釈すると、ブラックホールをワームホールとするワープ理論は成立しなくなる。ブラックホールは穴でなく、凝縮された表面のある星の残骸ということになるからだ。ブラックホールに突っ込むと、いずれブラックホールの地表に激突する。
いずれにしても、宇宙好き、科学・SFファンにはワクワクする話。
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え、ブラックホールが空間に穴を開けて、それがワームホールなんじゃないの?
と、以前は考えられていました。
しかし、新理論ではブラックホールは表面があること、特異点が生じない、ということになり、空間に穴は開かないことになります。