いちおう、フォトグラファーの肩書き(自称(^_^))も持っているので、たまにはカメラの話題を。
カメラ歴は長い。かれこれ30年あまり。
中学生の頃から、親父の影響でカメラが趣味のひとつだった。当然、当時はフイルムカメラ時代。親父からもらったハーフサイズ(現在のAPS-Cサイズ相当)の一眼レフで撮り始めた。すべてがマニュアルのカメラだ。今では、ピントはオートフォーカス、露出も自動で滅多なことでは失敗しなくなったが、マニュアルカメラはすべてが経験と勘だ。
どんな写真が撮れたかは、フイルムを現像するまでわからない。たくさん失敗したものだ。のちに就職した会社がフジカラーのラボだったので、現像して印画紙に焼き付けする行程も経験した。それらのアナログ写真の経験は、デジタルになった今でも感覚として役に立っている。
その後の転職で、グラフィックデザイナーとなり、プロの撮影現場に立ち会ったり、レンタルフォト(当時はポジフイルム)を使う立場になった。写真とはなにかと縁がある仕事をしてきた。
その自分が、ストックフォトに写真を提供する立場になるとは、当時は思ってもいなかった。
余談だが、仕事としては、アニメーターをやったり、コピーライターとして文章を書いたり、雑誌の編集をやったり、漫画やイラストを描いたりもした。……とまぁ、器用貧乏でいろいろやっていた。
カメラ業界は、日本勢が圧倒的に強い分野のひとつだろう。
テレビやパソコン関連では、海外勢に押されて日本メーカーは青息吐息なのに比べると、優位性は抜きんでている。
特にCANONとNIKONの2強で、世界を席巻しているといってもいい。
そのカメラ業界も、コンデジに関しては競合他社が多く、価格競争で低価格化をしいられ、収益性は低くなっている。スマホのカメラの性能が向上してきたことで、差別化も難しくなった。市場は飽和状態で、伸びしろも少なくなった。
成長が鈍化してくると、手法として新しいフォーマットを導入するのが、過去の例だ。
コンデジと一眼レフの中間のセンサーサイズである、フォーサーズやマイクロフォーサーズの規格もその例だ。フォーマットを新しくすることで、新たな需要を喚起しようというわけだ。
一眼レフには、フルサイズとAPS-Cというフォーマットがある。CANONとNIKONではAPS-Cのサイズは微妙に違うが、ひっくるめてAPS-Cという。
APS-Cは、もっぱら入門機やミドルクラスの廉価機種としてラインナップされてきた。
私が最初に買ったデジタル一眼も、APS-CのCANON EOS 60Dだった。ちなみに、フイルム時代に使っていた一眼レフもEOSだった。
APS-Cの一眼レフは、コンデジよりは価格は高いがプロ仕様のフルサイズ機よりも安く、買いやすい価格帯だ。そのことは、市場が飽和する時期も早く来てしまうことを意味する。どうやら、そろそろその時期に入ったようで、新たな普及機としてフルサイズ機に焦点が移りつつある……という記事が以下。
photokina 2012:photokina2012を読み解く3つのキーワード (1/4) – ITmedia デジカメプラス
今回のphotokinaでは、ソニーがフルサイズ3兄弟としてデジタル一眼レフ「α99」、ビデオカメラ「NEX-VG900」、コンパクトデジカメ「DSC-RX1」を出展。キヤノンは「EOS 6D」、ニコンは「D600」を投入し、35ミリフルサイズセンサーを搭載したカメラが増えたのは1つのトピックといえる。EOS 6DとD600は同社フルサイズ機の中では低価格に位置づけられることから、「ミドルクラスの最上位機」は高性能のAPS-C機ではなく、フルサイズ機となる可能性も出てきた。
一眼レフは販売数は少なくても、価格が高いので収益性はよくなるから、カメラメーカーは主力にしたいわけだ。APS-C機だと、ボディだけで5~6万で買えるようになっているので、ずいぶんと安くなったものだ。
それに比べて、フルサイズ機はまだまだ高い。成長の伸びしろがあるというわけだ。
技術の向上もあって、撮像素子(センサー)の性能も上がり、高性能でありながら手頃な価格の機種が出てきた。手頃というのは、一昔前には100万円近かったようなプロスペックのカメラが数十万になったという意味だ。
その代表格が、NIKON D800だろう。
じつは、私もNIKON D800に魅了されて、買ってしまった口だ(^_^)
CANONが高画素機を早くに出してくれていたら、そっちを買った思うが、噂はささやかれているものの、いまだ正式な発表はない。今年中には46MPの高画素機の発表があり、発売は来年……というのが噂の概要だが、それまで待てない!……と、D800に乗り換えた。
APS-C機が低価格化してきたので、最後の砦であるフルサイズ機を主力にしたいという思惑が見える。フルサイズで高画素だと、使用するレンズの性能も良くないと、カメラの性能を十分には引き出せない。つまり、カメラをフルサイズ機にしたらレンズも買い足さなくてはならない。そこに需要が生じる。
フルサイズ機が主流の流れになってくると、将来的にはフルサイズ機の成長が鈍化してくる。そうなると、次なる新しいフォーマットが必要になってくる。
それはたぶん「645カメラ」だろう。
フイルムカメラ時代には、フイルムサイズとして35mm以上には、645(60mm×45mmの意味)、6×6(「ろくろく」60mm×60mm)、6×7(「ろくなな」60mm×70mm)、6×9(「ろっきゅう」60mm×90mm)、4×5(「しのご」と呼ばれていたが単位はインチ)、8×10(「えいとばいてん」単位はインチ)というのがあった。645から6×9までで、60mm幅が共通しているのは使用するブローニーフイルムが共通していたからだ。画面サイズの違いはカメラの違いだったのだ。
プロのスタジオカメラマンは、6×6以上を使っていた。スタジオで撮影する婚礼写真などは、4×5が基本だった。
フイルム時代には、645や35mmはアマチュアの領域という感覚であった。かくいう私も、645のフイルムカメラを持っていた。
デジタル一眼では、フルサイズでもプロ仕様だ。そうなったのは、高性能の大きなセンサーを作る技術的な問題が大きかったからだ。
D800がそうであるように、センサー技術は格段に良くなっているから、より高性能で大きなサイズのセンサーを、以前よりも価格を抑えて作ることは可能になってきた。
デジタル645カメラは現在のところ、PENTAX 645DとライカSが主なものだが、かなり高価。厳密にいうと、フイルムカメラの645のような撮像面積ではなく、PENTAX 645Dが44×33mm、ライカSが30×45mmなので、サイズから呼ぶとしたら「345が正しい」のだが、35mmフルサイズ(約36×24mm)よりも一回り大きいということで、645と呼ばれている。
将来的な流れとしては、プロ用カメラは、645以上のサイズになっていくのだろう。
フイルム時代の再現が、デジタルカメラにも起こると面白くなる。