軌道エレベーターの実現性は低い(1)

月から見た地球(NASA)

軌道エレベーター関連の記事。

宇宙エレベータ建設が日本の未来を切り開く(後半) : アゴラ – ライブドアブログ

著者の山田高明氏は、意気揚々と軌道エレベーターの可能性を書いているのだが……

ぶっちゃけ、今、この時代の技術を前提に考えると、50年後でも実現性は乏しい。軌道エレベーターはとてつもなく巨大な構造物なのであって、静止軌道の高度が約3万6000kmであり、3万6000kmもの長大な建造物を人類はいまだかつて造ったことがない。

そもそも静止軌道に、気象衛星以上の巨大なものを浮かべたことすらない。国際宇宙ステーションはもっと低軌道(高度は約400km)を飛んでいるし、その高度に建設資材を打ち上げるだけでも大変なのだ。

また、記事中に以下のような「初歩的な誤解」があった。

宇宙エレベータ建設が日本の未来を切り開く(後半) : アゴラ – ライブドアブログ

人間は「初日の出」に何か特別な価値があると思い込める存在なので、当然、「初地球の出」にも価値を付加できるはずだ。映画やマスメディアを通じて、「宇宙時代に生まれたからには、死ぬまでに一度は月面から『地球の出』を見なければならない」という強迫観念も作り上げる。思わぬ「地球信仰」が生まれたりするかもしれない。

月面上からは「地球の出」は生じない。
これ、基本的な常識。
中学生レベルの知識である。
なぜなら、月は地球に対して、常に同じ面を向けている。地球の自転と月の自転と公転が同期しているからだ。

これを「秤動効果」という。

したがって、月面から地球を見たときは、常に同じ位置にあって、動くことはない。
こういう初歩的なミスを平気で書いているようでは、他の部分の説得力も乏しくなってしまう。

ほかにもいろいろと突っこみたいところがあるのだが、時間があったら(^_^)。

軌道エレベーターの実現性は低い(2)に続く。

諌山 裕

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