AI関連の話題をもう1本。
チェス、将棋、囲碁に関しては、AIが人間を凌駕した。
ただし、それはかなりズルをしての勝利ではある。格闘技系のスポーツに例えるなら、無差別級の対戦で、しかも桁違いにデカイ相手としてのAIだったからだ。
人間 vs クマでも、素手ではかなわないが、人間 vs ティラノサウルスくらいか、それ以上の大きさと馬力の差がある対戦なのだ。
人間と対等の条件であれば、現在のコンピュータにたいしたことはできない。つまり、消費電力60Wの脳と同じ電力しか使えないとしたらね。
チェス、将棋、囲碁のすべてでこれまでの最強AIに勝利した人工知能「AlphaZero」 – CNET Japan
チェスではロボットに決して敵わないことを人間はほぼ受け入れたが、今度はそのロボットですら、他のロボットには決して敵わないことを受け入れざるを得なくなった。
新たな人工知能(AI)プラットフォーム「AlphaZero」は、人間による介入なしに、囲碁、チェス、将棋をゼロから学習できる。AlphaZeroはディープニューラルネットワーク(DNN:深層神経回路網)を利用して3種のボードゲームをすぐに習得し、「史上最強のプレイヤー」になった。
(中略)
訓練と学習のプロセスは、グーグルの機械学習向けプロセッサ「Tensor Processing Unit」(TPU)5000基を使用し、チェスで9時間、将棋で12時間、囲碁で13日間かかった。参考までに、TPU 1基だけでも「Google Photos」で1日に1億枚以上の写真を処理できるため、AlphaZeroはかなり強大な処理ハードウェアと言える。
ボードゲームでは無敵なんだろう。
しかし、ボードゲームをやるのに巨大なサーバー群は無駄だよね(^_^)。
まぁ、研究のひとつとしてゲームを利用しているのはわかるが、それで人間を凌駕したというのは違う気がする。前述したように、ズルをしての勝利だからだ。
膨大な電力とリソースをつぎ込んでいるわけだから、そりゃ強くなるよ。
対する人間が名人の1人だけってのは、圧倒的に不利な条件だ。
多勢に無勢というやつ。
なんでもできることが前提の「汎用AI」が登場するのは、ちょっと遠い未来だろう。
チェスもできるが料理もできて、育児もできるAIを搭載したロボット……というのは、理想であり夢でありSFの世界だ。
だが、そういう未来は、おそらく100年以内には来ない。
ロボットとして、人型は理想だと思われているし、研究も進んではいる。ロボットをイメージするとき、人型を連想することが多いのは、SF作品の影響でもあるが、人型の方が感情移入しやすいからだ。
だが、ロボットにとって、人型は理想的、あるいは必然の形態だろうか?
と、考えたとき、人型を選ぶのは、人間の都合でしかないともいえる。
鉄腕アトムのように、人型ロボットが日常にいる世界は「未来」のひとつだが、もしかしたら人間と同等の運動能力を備える自立歩行する人型ロボットは実現しないか、社会には浸透しないのではないか……とも思う。
人型でなければいけない必然性は、じつはなかったりするからだ。
人型ロボットの未来は、幻想なのかもしれないね。