PIROによるPixabayからの画像

 環境問題のスローガンとして……
「地球を守ろう」
「地球を救おう」
 といった表現がされている。

 だが、これは間違いとはいわないまでも、適切ではないと思う。
 地球が温暖化しようが化学物質で汚染されようが、じつのところ地球は痛くも痒くもない。
 現在の環境から比べれば、原初の地球は生物など住めない劣悪な環境だった。いわば、宇宙的なゴミ溜のような状態だったからだ。光合成をする原初の植物が登場して、当時は大気に大量に含まれていた二酸化炭素を吸収して酸素を排出した。つまり、酸素で汚染していたわけだ。その後、酸素を利用する生物が登場することになったのは、環境が変わったためだ。

 太陽の寿命はあと50億年くらいだといわれている。
 地球が生物にとって住みよい環境でいられるのは、5~10億年くらいだろうと考えられている。太陽は徐々に赤色巨星へと変化していくため、やがては地球も太陽に飲み込まれてしまう。

 現在の地球環境が破壊され、生物の大半が絶滅したとしても、進化の再現をもう数回するだけの時間は残されている。
 恐竜が絶滅して、当時は小さなネズミだった齧歯類から、人類へと進化するのにかかった時間は6500万年。
 ざっと見積もって1億年だ。
 生物にとっての地球の余命が10億年だとすれば、あと10回進化をやり直せることになる。

 極論すれば、地球を人間が守る必要などないのだ。
 人類が滅びても、生き残った生物が次なる進化を始める。生物はそんなにやわではない。しぶとく生き延びるはずなのだ。

 環境問題の本質は、「人間にとって不都合な環境は避けたい」ということである。
 人類が地球を支配してるのは、ほんの束の間だ。
 今後も数億年にわたって、人類が繁栄できるなどと奢った考えはしないほうがいい。

 住みやすい環境を維持することは、間違いではない。
 ただし、それは人間の都合の話だ。
 恒久的な環境などというのは不自然だ。環境は常に変化し続ける。変わってしまうと困るのは人間なのだ。

 地球を守ろう……というスローガンを見ると、人間の傲慢さが出ているように思えてしまうのだが……。

諌山 裕

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