昨日の土曜日(11月23日)、乗馬に初挑戦した。
妻が懸賞で乗馬のトライアルコースの割引券を入手したからだ(笑)。通常、2万円かかるところを、1万円ちょっとで乗馬のレッスンが受講できるというものだった。レッスンは2日行われ、来週にもう1日ある。
乗馬のための馬場は、成田空港近くにある「オリンピック・クラブ」というところ。
土曜日の早朝、妻とふたりで出かけた。少々寝坊してしまって、あわてて家を出ることになったが、集合場所である池袋のグリーン大通りには、なんとか間に合った。
池袋からは送迎バスに乗りこんで、成田まで直行だ。
私は乗り物酔いがヒドイので、出かける前に愛用の酔い止め薬を呑んでいた。これがないと、車やバスに30分と乗っていられない。電車は体調が悪くない限り大丈夫だが、車は体調に問題がなくてもダメなのだ。船はもっとダメ(汗)。だが、ジェットコースターはぜんぜん平気だ(笑)。車やバスの揺れ方に堪えられないのと、シートや内装材料の臭いにまいってしまうのだ。
バスに揺られて1時間30分ほどで、馬場に到着。半分は寝ていたせいもあって、乗り物酔いにはならなかった。まずは一安心。
馬場はけっこう広かった。大小の練習コースがあり、馬も300頭ほどいるということだった。
初心者のためのトライアルコースを受ける人は、8人だった。それを2つのグループに分け、4人ずつで乗馬する。
最初はごく基礎的な講習を受けた。馬の性質とか、馬具の扱い方や、乗り方・降り方を教室で聞いた。
次はいよいよ馬を相手に実技だ。
2グループのうち、私たちのグループはあとの順番になったため、前のグループの実技が終わるまでは待ちの休憩となった。
乗馬のレッスンでは、ひとつの乗馬レッスン単位を「鞍」と呼ぶそうで、1鞍が通常は45分となっている。初心者コースの私たちは、1鞍が30分とされた。
初日では2鞍がセッティングされていた。
そもそも乗馬には、前々から興味を持っていた。動物が好きだということもあるが、たとえば物語で馬に乗るシーンを描くときに、実際に馬に乗ったことがあるのとないのとでは、実感としての表現に大きな違いが出る。
ファンタジーの物語では、馬は重要なアイテムであり、乗馬を知っていることの必要性を感じていた。想像だけでは書けないこともあるからだ。
さて、いよいよ私たちの番となって、レンタルしたブーツや乗馬ヘルメット、そして教室で購入した乗馬用グローブをはめて、馬場に降りた。
私が乗ることとなった馬は、毛並みがグレーの若い2歳馬で名前が「タイタン」だった。
間近で見るとやはり馬は大きい。左手で手綱と馬のたてがみを握り、右手を鞍の背にかけ、左足を鐙(あぶみ)にかけ、勢いをつけて右足を振りあげ、馬の背にまたがる。
だが、鐙の位置はけっこう高く、左足をかけるのも難儀する。初心者ということもあって、グループの全員に踏み台が用意され、高さを調整して乗りやすくしてくれた。
踏み台がなければ、乗るだけでもけっこうたいへんだ。そういうときは、初めに鐙の位置を下げておいて、鞍に乗ってから鐙の位置を再調整する……といっていたが、馬の背に乗ると不安定なバランスであり、乗ったまま足下にある鐙の位置を自分で調整するのは、もっと難しそうだ。
ともあれ馬に乗り、まずは直径10メートルほどの円を描くようにして、歩き始めた。テクテクと歩くことを「常歩(なみあし)」という。馬に歩くように指示を送る方法は、馬の腹をまたがっている両足で軽く押す。
タイタンはさほど苦労することもなく歩いた。もとより、こういう乗馬のための馬であり、日頃からやらされているので、コントロールはしやすいのだろう。
私の前には妻の白馬が歩いていた。妻の乗った白馬は老齢の馬であり、動きも緩慢だ。私の乗った若いタイタンは、少々せっかちで、すぐに前の馬に近づきすぎてしまう。最低一馬身は距離を空けるようにといわれていたが、馬間を取るために、たびたび手綱を引いて停止させなくてはいけなかった。
馬に乗ると、その高さが恐かったり、乗り心地が悪くてお尻が痛くなる……という話を良く聞くが、私はそんなことはなかった。初めてではあったが、さほど緊張することなく、すんなりと馴染んだ。どこか懐かしいイメージもあり、以前にも乗っていたことがあるようなデジャヴを感じた。
円を描きながら、なんども周回し、徐々に馬のリズムに慣れた頃、次のステップへと進んだ。並べたパイロンをジグザグに歩かせるのだ。右に曲がるときには、右手に持った手綱を引き、左はその逆だ。ゆっくりと歩いているので、これは簡単にクリアできた。
そうこうしているうちに、最初の1鞍目が終わった。ずいぶんアッという間だった。
2鞍目は1時間の休憩をはさんで、午後からとなる。休憩時間の間に昼食を取り、午後からのレッスンにのぞんだ。
2鞍目の最初は、1鞍目で行ったことの復習から始まり、続いて「速歩(はやあし)」へと進んだ。「速歩」といっても、ごく軽めの速歩であり、それほど速く走るわけではない。このレッスンでのポイントは、馬の走るリズムに合わせて、乗っている人間が上体を上下させるタイミングをつかむことだ。
上体を上下させるのは、乗っている人間が馬の上下動でお尻が痛くならないようにするためと、馬への負荷を軽くするためである。
だが、これがなかなか難しい。馬との呼吸が合わないのと、慣れない私がバランスを取りつつ足を踏んばって体を上下できないからだ。
「速歩」のときには、馬に座っているというよりは、常に中腰でまたがっているような感じなので、足の踏ん張りとバランス感覚が必要だ。これはけっこう疲れる(笑)。
2鞍目ではほとんどが「速歩」の練習だったが、だいたいの感じはわかったものの、十分にコツをつかんだとはいえなかった。
レッスンを終えて、馬から降り、馬の首筋を軽く叩いたりなでたりしてあげる。これは馬を誉める意味があり、「ありがとう」と伝えているのだ。
というようなことで、初日のレッスンは終わった。
乗馬は初めてだったが、なかなか新鮮な体験だった。お金の余裕があれば、本格的に乗馬をしてみたいものだが、一番安いランクの準会員でも、年間30万円ほど必要なので、ちょっと考えてしまうな(笑)。
来週の土曜日に、レッスンの2日目がある。今度はもうちょっとコツをつかみたいものである。