「石化した巨人だというネタの真偽」の続き。
前エントリで書かなかったが、もし巨人が存在するとしたら、その生態は私たち人間とは異なるだろう。
それをちょっと考察してみる。
ここでいう巨人とは、身長10メートルを超える巨人とする。
まず第1に人間と違うと思われるのは、身体的特徴、つまり体の構造だ。
そもそも二足歩行は巨大化には不利というか、極めて不安定な体だ。巨大化した恐竜の竜脚類(アパトサウルス、ブラキオサウルスなど)は体高が十メートルあまりにもなったが、安定感のある四つ足だ。重くなる体重を分散して支えるのに、四つ足が必要だったからだ。
ティラノサウルスは二足歩行だが、体高が4〜6メートルで、後ろ足の大きさに対して前足が極端に小さい。前足は役に立たないものになっているが、巨大化で腕の重さを少なくしたためだと思われる。長い尻尾でバランスを取り、体をほぼ水平にして歩いていた。二足歩行でも直立していたわけではない。
重力が1G下の場合、巨人が人間と同じようなプロポーションでは、立つことができないと、ほぼ断言できる。
「マクロス」のゼントラーディのような巨人、あるいは「進撃の巨人」に出てくる巨人は、物理的・肉体構造的に無理なんだ。とはいえ、フィクションではなんでもありではあるが。
人間型巨人を考えるとき、巨大化した恐竜が参考になる。
というわけで、想像してみたのが以下のような巨人。
手前の人間の女性が身長1.7m。
巨人は身長15mという設定にした。
巨人の足は短く太く、上半身は上に行くほど細くなり、首は長く、頭は小さい。腕は短いが指は長い。
恐竜がそうであるように、骨は空洞の多いハニカム構造で軽くなるようになっている。しかし、それでも限界があるから、上半身は細くして質量を減らす必要がある。
巨人はなにを食べるか?……と考えると、草食が妥当だろう。肉食だと摂取できるエネルギー効率はいいが、巨大化には捕食対象が大量に必要になる。巨体を動かすにはエネルギーも大量に必要なので、俊敏な動きができない。大きすぎる体は、狩りには不向きだ。
草食であれば、動きが緩慢でも消費エネルギーが少なく、大量の植物を食べられる。その樹木等の植物を食べるために首が長くなる。体を屈めることなく、首だけ傾ければいいからだ。
肉体を構成する素材は、タンパク質やカルシウムであることは変わらないので、強度や構造にはおのずと限界がある。
巨人が人間と同等のプロポーションだとすれば、存在自体が不可能だということになる。
人間のプロポーションは、その身長だから可能な構造なんだ。