中国の発表する諸データは、嘘や捏造が常習化しているといわれる。虚栄心ゆえなのか、大きく見せたい、偉そうに見せたいと、張りぼての情報を並べる。
 中国の人口統計も捏造だったらしく、14億人とされていた人口が、じつは10億人だったという説が出てきた。

水増しされていた中国の人口、「本当は10億人だった説」の衝撃──ハッキングでデータ流出/Newsweek

中国の一人っ子を愛する家族像を奨励するポスター(1985年、成都)

多産多死の時代から多産少死の人口増加期を経て、やがて少産少死の安定期に入る。このプロセスを「人口転換」と呼ぶが、その後半では(今の日本のように)少子高齢化が顕著になり、やがて人口減少の危機を迎えかねない。

それが歴史の常であり、この人口転換からはどの国も逃れられない。まだ人口は増え続けると豪語していた中国政府も、ついにこの1月、従来は「2030年以降」とされていた人口減少が、実は昨年から始まっていたと認めた。

(中略)

江沢民も胡錦濤も、中国経済の成長を支えるには外国資本の誘致が不可欠と考えていた。だから中国には今でも10億人を超える巨大市場があり、その規模は何十年も先まで拡大を続けるし、安価な労働力もたっぷりあるという「神話」をつくり上げた。

データの改ざんは習近平(シー・チンピン)体制になってからも続いた。「14億の民」という標語を振りかざせば、軍事面でも外交面でも虚勢を張り、諸外国を威圧することが可能だった。

(中略)

そう考えると、昨年のハッキングで流出したデータセットには(国民の70%ではなく)全国民の個人識別情報が含まれていた可能性が高い。つまり、中国の本当の人口は14億でも12億8000万でもなく、せいぜい10億人程度という可能性が出てくる。

この国の政治は依然として一枚岩のトップダウン型で、それがデータ改ざんを助長する体質を生んだ。人口の水増しを伴うようでは、中央政府の進める壮大な建設プロジェクトも無用なものとなろう。

(中略)

習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。

そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している。

 中国も少子化が進んでいるので、国力はじわじわと弱まっていくのだろう。ただ、中国の場合は一人っ子政策という、自ら少子化を推進したのが始まりだ。
 共産党政権は、習近平がラストエンペラーになる可能性が高いように思うので、現政権が倒れると内部分裂や内戦に発展するかもしれない。そうなると、中国は旧ソ連のように分裂しそうだ。

 怖いのは「強制妊娠」だ。
 今の中国ならやりそうなのが、余計に怖い。中国人女性にとっては、苦難の時代がやってくるのかも。

 21世紀はグローバルな世界になると思われていたが、ここにきて分断と分裂、ブロック化の時代になっていきそうな様子。
 まだ21世紀の4分の1くらいだが、21世紀の後半はグローバリズム(地球共同体主義)から、分断されたナショナリズム(国家主義)、あるいはもっと細分化したローカリズム(地方主義)に傾倒していくのだろうか。
 ひとついえることは、世界平和や世界政府の理想は遠のくということ。

 グローバリズムが失敗したというより、グローバリズムは大国が儲けるシステムだったから破綻したといった方がいい。貧しい国は富める国の食いものにされただけ。
 世界の工場といわれた中国は、食いものにされる側だったが、台頭することで食う側になった。その背景にあったのが、世界一の人口だった。しかし、それが嘘だったとなれば、砂上の楼閣が崩れることになるかもしれない。

 中国の先行きは、危ういように思える。

諌山 裕

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