コンピュータのデータの記憶装置(ストレージ)としては、黎明期には紙テープや磁気テープが使われていた。紙テープというとピンとこない世代も多いと思うが、むか~しのTVのウルトラマンにコンピュータが穴の空いた紙テープを吐き出し、隊員がそれをみて「なるほど」とかいっているシーンがあった。実際問題として、あの紙テープを見ても、二進法ルールで空いた穴を読める人はほとんどいなかった(^_^)。
その後、磁気ディスクを小型化したフロッピーディスクになり、磁気ディスクを高密度化したハードディスク(HD)になり、メモリを集積化したソリッドステートドライブ(SSD)へと移行しつつある。
HDは低コストかつ大容量で主流だが、SSDもだんだんと追いついてきた。
いずれにしても、HDもSSDも寿命は短い。数年は大丈夫でも、数十年は難しい。数百年となると、ほぼ絶望的。データを残し続けるためには、寿命が来る前にストレージを新しいものに換え、データを移す必要がある。
データの長期保存のためのストレージとして、DNAが注目されているという。
CNN.co.jp : 保存期間100万年?、次世代ストレージはDNA – (1/3)
ハードドライブやUSBメモリーなどに保存したデータは永久に存続するわけではない。ある調査によれば、ハードドライブは4年に22%の割合で消耗していくという。10年以上もつ装置もあるかもしれないが、1年ももたない装置もあるかもしれない。いずれにせよ、そうした記憶装置は永遠に存在するわけではない。数百万年にわたって保存できるようなデータ保存の最良の方法を見付けるべく科学者は自然界に目を向けている。すなわち、DNAだ。
(中略)
同氏の研究チームがDNA記憶装置を使って試験的に保存したデータは、これまでのところ83キロバイトほど。スイス版マグナカルタとも言える「永久盟約」と「アルキメデス写本」だ。こうして保存された文書は1万年後、凍らせれば最長で100万年後も読むことができるという。
問題となるのはコストだ。現在では、わずか83キロバイトのデータを記録するのに2000ドル(約24万円)の値段がかかる。ただ、グラス氏は楽観的だ。
日常的なデータの読み書きには長期保存の必要性は乏しいから、現状のストレージでもそれほど困ることはない。選択的に長期保存すべきデータを、DNAストレージに保存することになるのかな?
とはいえ、後世の人にとって、なにが価値あるデータなのかはわからない。残したいと思うデータと、残してほしかったデータとは違うだろう。考古学で発掘される文書などは、書いた人が残したかったものとは限らない。些末な文書が、ときには重要な記録の場合もある。
そう考えると、日常的に使うストレージも、数百年~数千年は残るようなものがいいのかもしれない。数万年後の人類(とは限らない)が、過去の都市を発掘してHDを発見しても、それがなんだったのか、なにが記録されていたのかはわからないだろうけどね。
実用的なDNAストレージが完成したとしても、後世の知的文明種族がそこからデータを読み出すのは難しそう。知的財産として百科辞典的なデータを、数百万年保存することが必要なのかどうかという問題もある。
人類の文明は、いずれ滅びる。
数百万年も人類文明が続くとは思えないし、生き残っていたとしても進化か退化をして、現在とは似ても似つかない姿になっていそうだ。
数百万年後に、人類としてなにを残すべきなのか?
まぁ、そんな心配をしてもしかたがないのだが。
物語の中で、想像するだけにしておこう。