ネット上に掲載されていた、オリジナルの魔法陣の画像が、無断でアニメに使用されていたという。
アニメ「ノーゲーム・ノーライフ」、魔法陣の無断使用で謝罪 – ねとらぼ
テレビアニメ「ノーゲーム・ノーライフ」が、作中で他者の魔法陣を無断で使用していたとして謝罪した。
問題の魔法陣は第7話で使われており、魔法陣の作者本人がTwitterで「自分作の魔法陣が無断転用されました」とツイートしていた。ノーゲーム・ノーライフ公式は無断使用があったことを認め、「権利者様、そしてファンの皆様方には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪。Blu-ray DiscとDVDに収録される映像については、該当箇所を全て修正するとしている。
出版でもネットから拾ってきた画像を使ったり、トレースしたりする問題がたびたび起きているが、制作サイドの著作権意識が、いかに低いかが露呈した事態だね。
前にも書いたが、出版社などの制作サイドは、自分たちの著作権は強固に主張するが、他者の著作権を侵害することには甘い。いちおう、私も出版関係の末端で仕事をしているので、現場の空気として著作権に対する意識が低いことは嘆かわしく思っている。
結論からいえば……
ネットから拾ってくるな!
……である(笑)。
単純に、それだけを徹底すれば、このような失態は招かない。
アニメ作品の傾向として、「魔法もの」はひとつのジャンルになっている。毎シーズン、魔法ものは何本か制作されていて、魔法ものの演出方法として「魔法陣」は必ずといっていいほど登場する。
その魔法陣は、複雑にデザインされている方がカッコイイ。
出てくるのは一瞬だが、複雑な魔法陣をデザインするには手間と時間がかかる。それをネットから拾ってくることで、楽をしたわけだ。
本来、実際に存在する魔法陣は、じつはとてもシンプルなものだ。ただの円であったり、四角であったりするが、形が重要なのではなく、魔術を執り行うときに現実との接点としての「場」を形成するのが目的だ。魔術あるいは魔法を発動するのは、呪文であったり儀式の手順であったりする。
日本的なものでいえば、神社の鳥居が魔法陣に相当する。
日本のアニメでは、魔法やファンタジーは独特の進化を遂げている。
西洋的なものと和風のものがミックスされ、さらには科学的なニュアンスと魔法が組み合わされてもいる。魔法でロボットが動くとか、メカの力を借りて魔法が発動するといったようなものだ。
そこに欠かせないのが、「魔法陣」という様式美となっている。
和製魔法陣には、複雑な図形に、ラテン語やルーン文字、あるいはキャラクターが日本人だと梵字が配置されていたりする。その意味はわからなくても、らしい雰囲気になる。
盗用された魔法陣は、作者のサイトを見ると、なかなかに凝っている。使いたくなるのもわかる。
制作サイドのお詫びでは、そのシーンを作り直すそうだが、それよりも事後承諾ではあるが作者にギャラを払い、魔法陣制作者として名前をクレジットして上げる方がいいのではと思った。
アニメの冒頭には「無断で動画をアップロードするな」という警告が出されるが、自分たちも無断で他者の著作権を侵害するなと、肝に銘じて欲しいね。