DAZ Studio 4.xをいろいろと使ってみる(50)の続き。
室内でのライティングと絵的な演出
前回も書いたが、室内でのライティングはなにかと難しい。
いろいろと試していて、Lightの特性をまたひとつ発見した。というか、私にとっての発見なので、すでに他のユーザーは知っていたことかもしれないが(^_^)b
DAZ StudioのLightとしては、DistantLightとSpotlightが使いやすいので、私はほとんどこの2種類のLightを使ってライティングする。
密室ではない開放空間であれば、これといって問題は発生しないし、「影」の問題も過去記事に書いてきたようなことで解決できる。
しかし、密室の室内では勝手が違ってくる。
室内の場合、Spotlightだけでは環境光としては不十分で、限定的な空間にしか光が当たらない。
UberEnvironmentは、もともと環境光としての光源なのだが、レンダリングの品質を左右するし、Propの種類によっては「継ぎ目」が出てしまったりして、適切ではない場合も出てくる。おまけに、UberEnvironmentはレンダリングに時間がかかる。レンダリングのスピードとしては、DistantLightの方が早いという特性がある。
室内のシーンを作っていて、環境光としてDistantLightを配置していた。
光には「影」がつきものなので、DistantLightに影ができるように設定したところ……
室内ではDistantLightの影をONにすると、レンダリングでは光源として無効になってしまう。
ということを発見した(^_^)b
ええ~~、なんで~?!
作業画面では光が当たっているように見えるが、レンダリングすると真っ暗なのだ。
ようするに、影ができる設定にすると、光源からの光が、室内の壁や天井で遮られてしまう……ということらしい。影を作らなければ、障害物を透過して、光が届くようになっている。
これは、Spotlightにもいえることで、影をONにすると、光源と被写体の間にあるもので、光が遮られ「影」ができる。しかし、影がOFFだと影ができないと同時に、遮蔽物の有無に関係なく光は透過する。つまり、部屋の外に光源があっても、影OFFであれば光源として機能するということだ。
いまいち納得がいかない特性だが、そういう特性になっているのだからしょうがない(^_^)。
▼影のON/OFFのパラメーターは以下。
室内シーンを作りながら、ライティングの変化を見ていこう。
(1)ライティングを作っていく
▼影なしDistantLightのみで、ライティングした場合。
作例といえども、やっぱりそれなりに作らなきゃね(^o^)
セクシーな作例の方が、見ている方も楽しい……のではないかと。
●部屋のPropは……First Class Stateroom
●ベッドは……Danielle Bedroom
●フィギュアは顔や体型をカスタマイズしてある。
First Class Stateroomには天蓋つきのベッドが付属しているのだが、それは使わずに、Danielle Bedroomから普通っぽいベッドを持ってきた。
環境光として、DistantLightを3つ配置している。
被写体および部屋全体を照らすように、角度を調整したDistantLightを環境光メインとした。
ほかの2つのDistantLightは、被写体の輪郭を照らす「リムライト」としている。
なお、壁の照明器具にはPointLightを配置しているが、50%と弱くしているので、照明器具の周辺を明るくする程度の光源でしかない。
▼リムライトのみのレンダリング結果。
リムライトは輪郭を際立たせるためのもので、被写体が背景に溶け込んでしまうのを抑えるためだ。
環境光のみだと、フィギュアの立体影だけはできるものの、フィギュアがベッドの上などに落とす影ができないので、不自然になってしまう。
その影を作るためには、影ONにしたSpotlightが必要になる。
▼環境光を消し、影付きSpotlightを1つ配置する。
これはこれで「あり」のイメージではあるが、もうちょっと明るいイメージにしたい。
そこで環境光をONにして、Spotlightと合わせる。その場合、光が合算されるので、明るくなりすぎないように環境光とSpotlightの割合を調整する。
▼DistantLightの環境光に、影付きのSpotlightを配置すると……
……と、こんな感じでライティングはだいたいできあがり。
もうひとつ、この部屋のPropには、天井に照明器具がついている。そこにPointLightとSpotlight(影付き)を広角にして、配置した。天井からの光も光源として加えて、リアリティを加味した。
▼ライティング完成図。
(2)絵として作り込んでいく
前述の「ライティング完成図」でも、それなりにできてはいるが、面白みに欠ける。そこでデフォルトのPropに手を加えて、イメージを仕上げていく。
まず、ベッドのシーツ(カバー)が柄物ではなく、白いものにする。その方がフィギュアが引き立つ。
ベッドのPropを選択して、Surfaces(color)タブから、Diffuse ColorパラメーターのテクスチャMAPを取り除く。
▼ベッドのテクスチャを削除
Bump Mapは残っているから、生地の凹凸は出ている。
本来なら、人がベッドに乗れば、体重でくぼみができるし、シーツには皺ができる。
くぼみを作るには、オブジェクトそのものを改造しなくてはいけないが、DAZ Studioにはその機能はない。そこまでやるには、他の3Dソフトを使って、変形するしかない。オブジェクトとオブジェクトが衝突したときに、互いに変形できるような機能があればいいのだが、無料のDAZ Studioにそこまで求めるのは酷というもの。
くぼみを作ることはできないが、皺はBump Mapを作ることで、擬似的に可能だ。
▼Bump Mapの改造
Bumpは、明るい部分(白い部分)が凸部になり、暗い部分(黒い部分)が凹部になる。
▼改造したBump Mapを貼り付ける
このように、皺っぽいものは表現できる。
▼Bumpによる凹凸の加減は、Surfacesの以下の部分で行う。
Strengthの%数値を上げ下げするか、Negative BumpとPositive Bumpの数値を変える。Bump Mapの陰影差にもよるが、Strengthが100%であれば、NegativeとPositiveの数値が、一桁代でだいたい足りると思う。作業画面では変化はわからないので、どの程度の効果になっているかは、その都度レンダリングして確認する。
▼ちなみに、部屋全体はこうなっている。
▼ベッドと壁だけでは味気ないので、花や植物を持ってきて、色をそえてみる。
花と緑は、持っているいろいろなPropから抜き出したもの。使えそうなものはなんでも使う。
▼壁が壁のままでは面白くないので、鏡を持ってきてみる。
鏡を置くことで、部屋の反対側がどうなっているかがわかるという仕掛け。
……ということで、完成(^^)
余談だが、乳房はデフォルトのままだと「固定」された形なので、「Glute and Breast Movement for Genesis」を使って、体の傾斜に合わせ、重力で垂れている状態を作っている。
このPlug-inがあると、乳房と臀部の変形が可能で、垂れる方向を変えたり、つぶれた形を作ったりできる。本当は、前述したように衝突や重力効果を判定(つまり物理演算)して変形できるのがベストだが、それができないので任意に変形するためのものが、「Glute and Breast Movement for Genesis」なのだ。