新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、次々と変異株が出現して、強力化しているように思える。
イギリス型、インド型よりも強力なベトナム型が出現したようだ。

インド型と英国型のハイブリッド変異株、ベトナムで発見 | ロイター

ベトナムのグエン・タイン・ロン保健相は29日、インド型と英国型の新型コロナウイルス変異株が合わさった新たな変異株を発見したと明らかにした。オンラインメディアのVNエクスプレスが伝えた。

新種の変異株は新たな感染者から見つかったとし、「インド型の変異株に、もともと英国型に含まれていた変異が加わったものだ」と述べた。また、既存株よりもはるかに感染力が強く、複製が非常に速いことも実験で分かったという。

ベトナムでは4月下旬以降に感染が拡大し、多くの市や省で累計感染者の半分以上に当たる約3600人が感染。これまでにインド型や英国型など7つの変異体が報告されている。

1年以上も経過して、いまだにCOVID-19の勢力が衰えないのは、変異株が3〜4か月サイクルで置き換わっているためだ。
季節性インフルエンザでも変異は起こるのだが、春になると衰退してきた。置き換わって勢力を盛り返すほどの変異ではないからだろう。

本来、ウイルスは元々の宿主に共生して生存するため、宿主を殺すことはない。
そのことから、SARS-CoV-2も変異する過程で弱毒化するのではないかと予想されていた。
ところがどっこい、ますます強毒化している。
これまでのルールを破る変化ではないか?

SARS-CoV-2が自然由来で、元々の宿主がコウモリだとしたら、宿主たりえるコウモリの数は少ないから、共存のために宿主は生かしておく必要がある。
ところが、人間に感染した場合、体は大きいからウイルスレベルで見れば、広大な感染培地があることになる。
しかも、数も圧倒的に多い。
ウイルスにとっては、潤沢な環境である。

こういう環境であれば、宿主(人間)と共生する必要がない。
宿主が死んでも、ほかの宿主がたくさんいるから困らない。
むしろ、感染と増殖をしやすくするために強力化・強毒化した方が有利になる。

人間が感染対策をして、ウイルスとの接触を軽減すれば、少量のウイルスでも感染できるように感染力を高める。
強毒化して宿主を動けなくすれば、死に至るまでに大量のウイルスを複製できる。呼気にウイルスが含まれていれば、動けなくてもウイルスを周囲に拡散できる。
ワクチンで免疫力を高めれば、ワクチンに対抗するためにさら変異する。

ベトナム株に対して、テレビに出てきた専門家は「空気は感染しない」といっていたが、頑なに空気感染を否定するのはどうしてなのか?
エアロゾル感染とは、空気感染の言い換えでしかない。
空気感染を前提とすれば、感染予防対策は根本から見直さないといけない。それをやらないと、感染の抑制は難しいと思うよ。

ウイルス単体は極微の生物(生物の定義に異論はある)だが、総体としての株、あるいは種としては戦略的に繁殖しているように思える。
意思はなくても、トライ&エラーで有利な変異が生き残る。
これはAIが答えを導き出す過程と同じともいえる。

SARS-CoV-2は今までのウイルスの常識を覆す、生存戦略を獲得したのかもしれない。
弱毒化で生存する道ではなく、強毒化で生存する道だ。
この方向で変異していくと、遠からずワクチンを無効化する変異型が出てくると予想される。
すでにワクチン接種後の感染の「ブレークスルー感染」も起きているので、ワクチン接種が進むほどにワクチン破りの変異株が出現する可能性が高くなる。

安心材料となるはずのワクチンが、さらに強力な新型コロナウイルスを出現させてしまう。
来年は平穏が訪れているか、それとももっとひどい状況になっているか。
どうなっていることやら……。

諌山 裕

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