AIやスパコンは、なんでもできると勘違いしている人は多いが、大臣がそれを言っちゃおしまいだよ。
「科学的に」という言葉が免罪符のように使われるが、科学は万能ではないのだ。

大会中の国内人流、スパコン検証を検討 丸川五輪相「懸念に科学的に答えられるように」/スポーツ/デイリースポーツ online

 丸川珠代五輪相(50)が18日、閣議後の定例会見を行った。東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス感染防止策の一端として、AIやスーパーコンピューターを使って大会中の会場外も含めた人の動きをシミュレーションすることを検討していると明かし、「懸念について科学的に答えられるように取り組みたい」と語った。

なにをどうシミュレーションするつもりなんだろうか?
不確定要素が多くて、ひとつの答えが出てくるとは思えないのだが?

この発言の意図は、感染対策が有効だという結論をスパコンに出させて、「科学的に証明した」という言質を取りたいのだろう。
結論ありきのシミュレーションに意味はない。

ほんとうに真面目なシミュレーションをするとすれば、何万通りもの結果が出てくると想像するが、「人流は制御できない」との結論が出てきたらどうするのだろうか?
普通に考えて、9万人ともいわれる選手・関係者を制御できるとは思えない。

1万5千人ほどの選手(監督やコーチなどを含む)は、選手村に閉じ込めておけばいいかもしれない。
しかし、海外から来た大会関係者およびメディアスタッフは、選手村ではなく都内のホテルに滞在することになるようだから、彼らの行動を逐一監視することは、ほぼ不可能だろう。選手以外の人たちは“バブル”の外に出てしまう。

問題は選手以外の人たちだ。
数としても選手以外の方が多い。

選手・関係者が全員ワクチン接種を済ませていれば、感染源となる可能性は低くなる。だが、ワクチンは強制できないし、接種ができない人もいるだろう。
PCR検査は確実ではないし、これまでにも検査では陰性だったのに発症した例は少なくない。
徹底しているつもりでも、必ず穴は生じる。感染症とはそういうものだ。

コロナ禍での五輪開催は、ある意味、格好の実験でもある。
様々な対策が、このビッグイベントで有効なのかどうかの実験だ。
成功すれば、今後の世界的イベントのモデルケースになる。
失敗すれば、痛い教訓となる。
いずれにしても、貴重な人体実験だ。

うまくいくかどうかは、やってみなくちゃわからない。
一か八かの賭けだ。
ただ、想定が甘すぎるから、ちょっとした綻びで破綻してしまいそうだが。

吉と出るか凶と出るか。
開催するのなら、凶と出ることも覚悟を持ってやることだ。
凶の場合、誰がどんな責任を取るのかは、明確にしておいて欲しいね。

 

諌山 裕

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