「総力戦で戦う」はまるで「本土決戦」みたい

新型コロナの重症者数が減ってきても、いまだに医療が逼迫しているという。
都民1400万人に対して、数百人で逼迫すること自体がシステムとして機能していない。
いろいろな関連記事を読むと、医学界にも縄張り意識があるようで、協力体制が構築できなかったらしい。

そんな勢力のひとつが開業医が中心となる医師会だという。

コロナ診療「総力戦で戦う」 東京都医師会・尾崎会長(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)

 東京都医師会の尾崎治夫会長は9日、記者会見し、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制について、「いままでコロナを診る、あるいは診ない、それだけで(医療施設を)分けてきたところがある」

(中略)

「すべての病院がコロナ診療に関わることができるし、関わらないといけない。診療所、在宅医療、訪問看護、介護関係の方も、老人保健施設もみんなが一体になって、コロナ診療に関わって総力戦でこれから戦っていこうという流れを作っていきたい」と述べた。

いやはや、今ごろになってこんなことをいってるのか?……と、呆れてしまう。
「分けてきた」というのは、新型コロナ対応を国公立や感染症の専門医がいる大病院に押しつけて、個人経営の開業医は利益にならないから関与しなかったのではないか?

この発言は、1年前の3月に発するべきことだった。
意識が変わるのに1年かかったわけだ。
最初から総力戦でやっていれば、もうちょっと状況は違っていたと思う。

とはいえ、「総力戦」という言い方は、なんだか悲壮感があり、まるで戦時中の竹槍で米軍を迎え撃つ「本土決戦」を叫んでいるようにも思える。

やっとワクチン接種が一部で始まったが、それまでは有効な武器がなくて、竹槍ならぬマスクに頼るしかなかった。
有効な武器であるワクチン接種が可能になってから、「総力戦」と言い出すのは卑怯だなーと思う。

総力戦とやらがどの程度のものなのか、見せてもらおう。(←シャアの口調で)

諌山 裕

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