「空飛ぶクルマ」というと、道路を走っているクルマが、スイッチONで飛行モードに変形して離陸して飛行する……というものだと思う。
昔懐かしいサンダーバードのペネロープのクルマがそうだった。
だから、「空飛ぶクルマ」というからには、路上走行機能と飛行機能が備わっているべき。

しかし、現実は……

テトラ、空飛ぶクルマの飛行試験動画を公開 JAXA共同研究も発表 | sorae 宇宙へのポータルサイト

空飛ぶクルマ(eVTOL)を開発するテトラ・アビエーション株式会社は、2020年2月に米国で行われた国際航空機開発コンペ「GoFly」にてプラット・アンド・ホイットニー・ディスラプター賞を受賞した機体「teTra Mk-3E(通称:テトラ3)」の飛行テスト動画を公開しました。テスト飛行を実施したのは、無人航空機、災害対応ロボット、自動運転ロボット、水中探査ロボットなど物流・インフラ・大規模災害時に活躍する陸海空のフィールドロボットの研究開発拠点である福島ロボットテストフィールドです。

これって、でっかいドローンだよね。
というか、ほぼヘリコプターだ。
記事を書いた人の書き方が悪いのかもしれないが、これは「空飛ぶクルマ」ではない。

Thunderbirds Are Goより

新しい方のサンダーバードのペネロープ号は、文字通りの空飛ぶクルマ。
ジェットエンジンを搭載しているようなのだが、ジェットエンジンは燃料を食うので、この大きさだとあまり飛行可能時間は長くなさそう。物語上は、そういう制約は無視しているが。

比較的小型のジェット機の、ガルフストリームG150で、最大燃料容量は4,672 kgで、燃料消費量は794kg/hとなっている。

ペネロープ号はロールスロイスがベースだが、タンク容量は改造しているとしても600リットル(灯油計算で約483kg)前後かと想像する。ジェット燃料は灯油に近い成分なので、走行用エンジンと共用なのだろう。このタンク容量だと、燃料消費量がG150と同等だと仮定すると、飛行時間は36分ほどで使い切ってしまう。まぁ、緊急用であれば十分ではある。

「空飛ぶクルマ」の定義が曖昧なために、カテゴリ分けとして航空機なのか自動車なのか中途半端になっている気がする。

提案:空飛ぶクルマの定義

    1. 一般道を車として走行可能であること。
    2. 離着陸に一般道を利用可能なこと。
    3. 特別な燃料を必要としないこと(ガソリン、軽油、灯油など)。

ちなみに、ドローンの場合は、国内法では高度は150m以下という規定がある。それ以上の高度を飛ぶと航空機の領域になる。将来、テトラのような人が乗れる大型ドローンを使用するには、免許が必要になるだろうから、その場合の制限高度は150m以下になりそう。

空飛ぶクルマは各国、各メーカーが開発中だが、大型ドローンタイプと飛行機と車の合いの子みたいなのと、方向性として2つ。

スロバキアから空飛ぶ車「エアロモービル」…最新プロトタイプを発表 | レスポンス(Response.jp)

車として、公道を走行する際のエアロモービル3.0は、全長が6m、全幅が2.24m。エンジンは、「Rotax 912」と呼ばれる自然吸気の4気筒。燃料はレギュラーガソリンを使用し、最高速160km/hの性能を備える。燃費は12.5km/リットルで、燃料満タンなら最大875km走行可能。乗車定員は2名。

エアロモービル3.0は、格納されていた翼を出すことにより、飛行機に変身。この時、全幅は8.32mに達する。飛行速度は200km/h以上。最大700kmを飛行できる。

この機体は、路上走行も可能なので、空飛ぶクルマの定義を満たしている。ただし、これを操縦するには、航空機免許も必要だね。

夢のある話ではあるのだが、空飛ぶクルマが窓外の風景として見える未来は、遠いかもね。SF映画やSFアニメで描かれる未来には、未来的な光景として出てくるが、事故が起きると被害は大きくなりそう。現実的には、飛ばすのに厳しい制約が課せられると思われる。

果たして、便利な乗り物になるのかどうか……。
用途としては限定的な気がする。

諌山 裕

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