嫌な過去を思い出してしまった記事(^_^;

毎日のように遅刻する理由を「寝坊が怖いから」と説明するのだった… – ZAK×SPA! – ZAKZAK

 このあいだ精神科医の春日先生と話していたら「俺も昔ちょっと強迫(神経症)になったことがあって…」なんて話になったんですよ。

 ちなみに、強迫観念……とは、
強迫性障害 – Wikipedia

強迫観念(きょうはくかんねん)とは、本人の意志と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感を生じさせる観念を指す。強迫観念の内容の多くは普通の人にも見られるものだが、普通の人がそれを大して気にせずにいられるのに対し、強迫性障害の患者の場合は、これが強く感じられたり長く続くために強い苦痛を感じている。ただし、単語や数字のようにそれ自体にはあまり意味の無いものが執拗に浮かぶ場合もある。

 ある女性に失恋したときに、やや強迫観念に陥った…(×_×)
 思い出したくない過去だが、思い出してしまう。
 そして、その記憶に胸が痛くなる。
 すでに、この時点で強迫観念の再来だ(^_^;

 その彼女には、一目惚れだった(まぁ、たいていはそうだったが(^^))。
 だが、彼氏がいるだろうことも察した。
 彼女は美人で、もてるタイプの女性だ。周りの男が、ほおっておかないタイプ。彼女は自分から動くことなく、男の方から言い寄ってくるだろう。恋愛に苦労したことがないであろう女性だ。
 ……というのは、勝手な憶測だったのだが、当たらずとも遠からずだった。

 あるとき、彼女を食事に誘った。
 断られるだろうとは思っていたが、その理由が堪えた。
「恋人以外の人と、食事したりはできない」
 なるほど。
 ということは、彼女には恋人関係の男性が、少なくとも3人はいる(いた)わけだ。なぜなら、一緒に食事に行く男性が、私の知る限り、社内に3人はいたからだ。時期的には、その時点から2~3年以内のこと。
 彼女の言葉通りに解釈するなら、そういうことになる。
 誰と関係があるか(つまり、誰とエッチしているか)を、彼女は遠回しに示唆したわけだ。
 彼女が、意図的にそういう言い方をしたのかどうかはわからない。もしかしたら、あまり深く考えずに、本音をポロッとこぼしてしまったのかもしれない。普通、つきあっている男が3人いるなんてことは、言わないだろうからね。
 少なくとも、つきあっているのが誰かは、予想を裏付けるものだった。

 私の一方的な片思いだった。
 片思いの辛いところは、結論を自分だけでは出せないことだ。
 ダメだろうとは思っていても、もしかしたら……、という希望的観測を捨てきれない。
 それゆえ、片思いなのだが(^_^;

 YESかNOか、はっきりさせたい。
 片思いの辛さから脱出するには、答えを出すことだ。
 NOと結論が出れば、あきらめもつくだろう。
 その答えを彼女から引き出すためには、告白しなければならない。
 可能性がなくても、告白するのか?
 NOの返事を聞きたいために、告白するのか?
 そういう自問自答の日々が続く……
 それがまた、ツライ。

 悶々とした日々が、月日が、年月が過ぎていった。
 気がつけば、3年が過ぎていた。
 彼女と直接話をする機会は乏しく、知り得ることは少ない。
 私の頭の中で、彼女は美化されていく。
 それは理想の彼女だった。
 現実の彼女と、想像上の彼女との間には、大きなギャップが生じる。
 私が恋していたのは、想像上の彼女だった。
 しかし、同時に現実の彼女にもシンクロしている。
 両者の区別は、もはやつけられなくなっていた。

 彼女と相思相愛になれる可能性は極めて低い。
 彼女には、複数の彼氏がいるのだから(時期は、ずれているとしても)。
 わかりきっていることだったが、それでも明確な「答え」がほしかった。
 答えを出すためには、直接、聞くしかない。

 その一方で、このまま答えを出さなければ、ずっと片思いのままでいられるし、理想の彼女のイメージを壊さなくてもいい……という思いもあった。
 どっちにするんだ?
 答えを出したい自分と、答えを出さないままにしたい自分との、葛藤……

 月日が流れ……
 結局、答えを出すことにした。
 彼女に告白したわけだ。
 そして、予想通り……ふられた(>_<)
 それで終わりになるはずだった。
 THE ENDのはずだった。
 普通、「好きです。つきあってください」といって「NO」の返事をもらったら、そこで終わりだ。
 ……失恋。
 もはや、ふられた彼女と顔を合わせることも、口をきくことも、二度とないものだ。
 ふられるというのは、絶交宣言に等しいからだ。
 少なくとも、それ以前の失恋経験では、それっきりだったのだ。
 失恋するのは、初めてではなかった。
 女性の方から告白されて、私が「ごめん」と断ったこともある。
 失恋とは、関係性の断絶を意味するものだ。

 ところが、彼女の場合には「断絶」にならなかった。
 私はTHE ENDにしたかったのに、終わりにならなかった。
 勤めている会社が同じだから、すれ違うこともあるだろうが、避ければいいし、無視すればいい。
 彼女からすれば、ふった男。私からすれば、ふられた彼女なのだ。普通、避けるだろう?
 ところが、彼女は、朝には「おはようございます」、帰りには「お疲れ様でした」と笑顔を向けたのだ。

 彼女は、なにを考えているんだ?

 彼女の向ける笑顔の意味がわからなかった。
 ふった男に、笑顔で挨拶するか?
 その笑顔が、私をどれほど傷つけているか、彼女にはわからないのか?
 私は彼女の顔を見ることすらできないのに、声をかけられるたびに、ビクビクしていた。
 彼女の笑顔とやさしい声が、私の心にナイフを突き刺す。
 ふさがらない傷口を、グリグリとえぐられる。
 彼女の存在が、私には凶器と化した。
 もう、彼女の顔は見たくない。声も聞きたくない。会うのも、近づくのも嫌だ。
 なぜなら、彼女のことが、まだ好きだからだ。
 好きだけど、報われることのない思い。
 それがツライ……
 ……残酷だ。
 毎日、毎日、ナイフで刺されるような思い。
 この辛さに決着をつけたかったのに、彼女は終わりにしてくれない。
 お願いだ、もう挨拶しないでほしい。顔を向けないでほしい。
 いつしか、私は彼女に対して、脅迫観念を抱くようになっていた。
 彼女が不在の時は、心はおだやかだ。
 しかし、彼女が出社してくると、心は乱れ、終始緊張感にさらされる。彼女が昼食で外出すると、ホッとする。

 そんな日々が続いていると、疑念が浮かぶ。
 もしかして、彼女は私が嫌がるのを承知で、挨拶をしているのではないか?
 私が傷つくのを、面白がっているのではないか?
 彼女にしてみれば、私が好意を寄せていることが、よほど気に入らないのではないか?
 早い話、私はいじめられているのではないか?
 ……そんな、ネガティブな考えが増幅していった。

 私は心に誓った。
 ・もう二度と、彼女の顔は見ない。
 ・挨拶をされても無視する。
 ・ぜったいに話しかけたりしない。
 ・近づかないように、徹底的に避ける。
 疑心暗鬼になっていたし、彼女のことを考えると、胸が痛くて、苦しかった。夜、眠れなくなることも度々だった。
 失恋したのだから、もう、終わりにしたかったのだ。
 失恋は、なにかと引きずるものだが、ここまで引きずったのは、このときだけだった。

 彼女がどう思っていたのか……
 今では知りようがない。
 私の勝手な想像でしかないが、彼女にしてみれば、私のことなど、取るに足りないことで、道で小石につまずいた程度のことだったのだろう。
 挨拶をしていたのは、反射的な行動だったのだろう。
 ようするに、彼女は私のことなど、どうでもよかったのだ……と思う。
 そう思うことで、自分を慰めた。

 過ぎたことだが……
 今でも、思い出すと……胸が痛い(>_<)ゞ

 しかし、よくよく考えてみると、私は彼女の顔を間近に見たことがなかった。
 いつも、遠目に……少なくとも2メートル以上は離れていた。
 視力の悪い私には、ちゃんと見えるのは1メートル以内。2メートルも離れると、近視のピンぼけと乱視のゴーストで、ボケボケにソフトフォーカスがかかっている。
 彼女と1メートル以内で、じっくりと顔を合わせたことがないので、瞳の色、肌や髪の質感はまったくわからない。肌荒れや小じわがあったとしても、私には見えていなかった。そこは想像で埋めるしかなかった。
 ピントの合わないカメラで、写真を撮っているようなものだ。
 私には、真実の彼女が見えていなかった。
 恋は盲目……ともいうが、私には本当に見えていなかったのだ(^^;)。

諌山 裕

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