前の記事「情報社会の現在と未来」に関連した話題。
ネット時代になって「フリーエコノミー時代」が来る……という記事が以下。
だが、この予想には、懐疑的だ。
ベストセラー『FREE』(フリー)が示唆する恐るべき“無料化”の波(ダイヤモンド・オンライン) – Yahoo!ニュース
21世紀に「無料経済」が誕生するのは、デジタル時代のテクノロジーの進歩によるところが大きい。どんなソフトウェアもやがては必ず無料になると言われている。たとえば、同著は「メディアの有料コンテンツは近いうちに終焉を迎える」と警鐘を鳴らしている。
(中略)
同書によれば、人はどんな世の中になっても、(1)時間を節約するため、(2)リスクを下げるため、(3)自分の好きなもののため、(4)ステイタスを手に入れるため、にはお金を払うという。
そこで有効になるのが、一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担するという「フリーミアム」という考え方だ。たとえば、音楽の世界であれば、「低品質のMP3は無料、高品質のCDは有料」という棲み分けである。
たしかに「なんでも無料」というのは、ユーザーから見ればいいことばかりだ。
とはいえ、どこかで収益を上げなければ、ビジネスとしての意味がない。趣味やボランティアで産業は成り立たない。
フリーエコノミーは、いわば情報のデフレだろう。
価格競争の最たるもので、タダにしているわけだ。
一部の人がステイタスに金を払うとしても、それは可処分所得に余裕のある人たちのこと。言い換えれば、一定水準の所得層がいないと成立しない。その日の食べものも貧しいような貧困層には縁のない話だ。
また、低品質は無料、高品質は有料……というのも、現段階での話。テクノロジーは日々進歩しているから、いずれその差はなくなる。
書籍に関しても、電子ブックが紙の書籍にはかなわないというのは、現段階での技術的な問題にすぎない。その差が縮まったり、電子ブックの方が利便性で上回るのは、そう遠い未来でもないだろう。
品質に差がなくなったとき、差別化というのは意味がなくなる。
現状、フリーエコノミーが成立しうるのは、差別化が可能だからであって、高品質の媒体を買ってくれる人がいるからだ。
技術の進歩によってフリーエコノミーが可能になったように、さらに技術が高度化すれば、フリーエコノミーは成立しにくくなる。
世の中のすべてが無料になれば、話は別だ。
衣食住などの生活費が無料、どんなサービスも無料、もちろん人々に金銭による収入もなくなる。
労働は他者への奉仕であり、自己の探求と楽しみのために働く。
そうなれば、経済格差なんてのも過去の遺物だ。
これはスタートレック(TNG)の世界だ。
ひとつの理想郷ではあるが、経済を捨てることは難しい。
一時的にフリーエコノミーが進行するとは思うが、多くの競争相手が出てくれば、共倒れで立ちゆかなくなることは明白だろう。
無料ではないが、無料に近い課金システムが必要になってくる。
前にも書いたが、PV(ページビュー)1回1円とかいうシステムだ。1億PVあれば1億円……そんな税金のような集金システム。無料に近いということでは、1PVあたり1銭くらいだろうけど。
現状でも、「無料」といいつつも、回線使用料は払っているわけで、利用者にとってはタダではない。儲けているのはインフラを握っている企業だ。
インフラも無料になってこそ、フリーエコノミーだと思うのだが?