「チームで取り組むことの面白さ」

NOVEL AIRのサイトで、リレー小説を始めた。

新作情報でもそれについて触れたが、チームでひとつの企画を進めるのは、好きだし面白い。本来、小説はひとり書き手が書くものだというのが、一般的な認識だし、作家と呼ばれる人の多くがそうしている。海外では、合作形式の作品も珍しくないが、日本では希だ。

私はひとりでなにかをするよりも、多くの仲間たちとひとつの目標に向かって、取り組むことが好きなようだ。作家業のような孤独な作業は、あまり好きではない(笑)。わいわいがやがやと仲間たちと意見を戦わせながら、ひとりでは行き詰まってしまうようなことでも、チームであればまったく予想外のアイデアが出たり、面白い発展をするからだ。

それは学生時代の、“文化祭”や“体育祭”の乗りに近いかもしれない。イメージしやすい例でいえば、アニメ映画の「うる星やつら」のいくつかの作品を思いうかべるといいだろう。文化祭当日に向けて、夜遅くまで学校に残って、小道具大道具の制作や準備をしていく。ふだんの学校生活とは違う毎日。実際、私の高校生時代には、似たようなことをやっていた。あの頃の夢中になれる気持ちや、仲間たちとの語らいや共同作業は懐かしくもいい思い出だ。

サークルに参加しているのは、そうした思いを引きずっているからかもしれない。四苦八苦しながらも充実した時間と、完成したときの達成感は忘れられない。ひとりでなにかを成し遂げたときにも喜びはあるだろうが、仲間たちと苦楽を共にして味わう喜びは格別だ。

仲間たちと共有した時間、共有した思い、共有した達成感は、言葉は臭いが“青春”そのものだったのだ。

新人賞に挑戦しよう……という共通した目標で、ともに努力している仲間がいる。ライバルであると同時に気心の知れた友人だ。相手が一次選を通過すると、わがことのようにうれしいものだ。そして、自分も頑張ろうという気になる。いつかそれぞれがプロの作家になれたら、共同執筆で作品を書きたいというのが、私の夢でもある。

そんな同じような思いを抱いている仲間たちと、作家集団を目指しているのが、CAT Studioでもある。

リレー小説では、チャットで意見を交換しつつやっている。ライター・チームの面々は、東京、埼玉、福岡、石川とそうそう簡単には会えない距離に分散している。ネット上ならではの場の共有をしているわけだ。

漫画の世界では、共同作業は当然のように行われている。作家とアシスタントという関係だが、ときには作家同士でアシスタントをしたりもする。時間のかかる作画作業に対して、雑誌の刊行ペースは早いために必要となったシステムだ。

小説でもそれは可能だろうと思う。むしろ、小説の方が方法としては容易だ。アニメの脚本などは、複数のライターによってシリーズが書かれている。小説でも同様に複数のライターによって、シリーズ展開することはできるはずだ。ひとりの作家によるシリーズものが、なかなか出版されないことで、苛立ちをおぼえたり、興味を失ってしまう読者も多いのではないだろうか? 小説が売れない原因には、発行ペースが遅いことも一因であるように思う。

小説もエンタテイメントのひとつであるとするならば、作家チームで書いたっていいじゃないか。

……と、リレー小説を書いているわけだ。

“文化祭”前夜は楽しいのだ(笑)。

諌山 裕

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