日本では圧倒的なシェアのiPhone。
世界的にはシェアは落としているものの、利益率は高いという。
なぜ、iPhoneが儲かるのか?……を分析した記事。なるほどと納得。
「iPhone」がもうかる本当の理由 – 設計力向上 – 日経テクノロジーオンライン
イノベーションを生み出し続ける米Apple社は、業績面でも超が付くほどの優良企業だ。直近の2014年度(2014年9月27日を末日とする会計年度)では、売上高が約18兆円、営業利益率が約30%と驚異的な数値をたたき出している。
革新的な製品である「iPhone」が、莫大な売り上げをもたらしていることは理解できる。しかし、30%もの営業利益率を実現している理由は、あまり知られていないのではないか。一般に、販売台数が多いからといって、必ずしも利益率が高いとは限らない。Apple社には、もうかるための仕組みがある。そして、それは1970~1980年代の古き良き日本のメーカーが実践していた設計手法と極めて似ているのだ。
(中略)
実際には、Apple社は電機メーカーの中で最も垂直統合が進んでいる。販売店は自前のApple Storeを持ち、OSも独自開発、そしてSteve Jobs氏自らがパッケージングの特許を8件も発明している。さらには「iTunes」のようなサービスも運営している。
(中略)
「そんなことを言っても、Apple社は自社工場を持っていないではないか!」という反論が来そうだ。確かに、同社が工場を持ってないのは事実である。しかし、最もお金が掛かる切削加工機やレーザー加工機についてはApple社が自ら投資し、製造委託先の台湾Hon Hai Precision Industryなどに貸与しているのだ。つまり、Apple社は工場を持っていないかもしれないが、もうけを生み出す固定費の部分に投資し、リスクを負っているのである。そして、変動費の部分だけを外注しているわけだ。
(中略)
これによれば、X社は2011~2014年の4年間で、何と55機種、19種類の画面サイズを設計している。そのうち半数を超える10種類の画面サイズが1機種にしか使われていない状況だった。
本当に、これほど多様な画面サイズが必要だったのか? たった4年間で55機種も開発し、筐体のサイズもバラバラである必要があったのか? これでは、固定費マネジメントができるはずはなく、もうかる製品にはならないだろう。画面サイズの種類が際限なく増えたことについて、X社の技術者にも言い分はあると思う。しかし、固定費マネジメントの重要性に異存はないはずだ。
(中略)
「設計でコストの80%が決まる」。こんな言葉を1度は聞いたことがあると思う。だが、実際には多くの企業で設計部門と原価部門がバラバラになっていないだろうか。設計部門が頑張れば、良い製品は生まれるかもしれない。しかし、設計部門と原価部門がバラバラの状態でもうかる製品など生まれるはずがない。そこで、筆者は「プロフィタブル・デザイン – Profitable Design -」(もうかる設計、利益獲得設計)を提唱したい。
長い記事なので引用も長くなってしまったが、全文を読んでくれた方がいい。
「プロフィタブル・デザイン」というのは、初耳もとい初見だった。
Appleは製品のラインナップは少数に絞って売っているから、ハズレが少ないよね。過去には、野心的な失敗作も多数あるが、そういうのはさっさと切り捨ててる。OSなんかも、古いものはバッサリ切ってしまって、新しいものにしてしまうし。それでもユーザーがついていくのは、そこに魅力があるからだ。
日本のメーカーは、とにかく機能や価格が多品種で、機種ごとの違いはちょっとずつだったりする。選択肢が多い反面、どれがいいのかわからないことにもなっている。テレビなんかでも、これでもかっていうくらい機種がある。八方美人というか、数打ちゃ当たるみたいな感じ。数多くの機種があるから、数多くの生産ラインが必要になるわけで、部品の流用はするにしても、組み立ての手間はかかるはず。そこに無駄があるのではないか。
過去記事でカメラメーカーのNIKONについて書いたが……
→「がんばれNIKON!」
カメラメーカーも機種が多すぎだよね。廉価機、中級機、高級機の3つでいい。機能や性能を多機種に分散するんじゃなくて、3つに振り分ければカメラとしての個性になる。どうも、日本メーカーは「たくさんの機種を出さないといけない」といった強迫観念があるように思う。
iPhoneは、画面の大型化で後手を踏んだようにも見られたが、固定費を回収する意図があったとすると、後手を踏んだわけでもなさそうだ。製造を外注しているだけではなく、設備投資をしていたというのはあまり知られていなかったと思う。
大型化したiPhoneは、故ジョブズ氏の遺産だから、まだジョブズ氏から自立したとはいえない。
ジョブズ後のAppleとしての正念場はこれから。
その第一弾となったのが、Apple Watch。そのApple Watchは賛否いろいろあるものの、アメリカでは発売後で早くも100万台の注文があるらしい。
ニュース – 「Apple Watch」、米国の初日注文は約100万台、米調査会社の分析:ITpro
米Appleが現地時間2015年4月10日に予約注文の受付を開始した腕時計型ウエアラブル端末「Apple Watch」は、初日の注文数が約100万台にのぼったと、複数の米メディアが報じている。
アーリーアダプターは買うだろうし、そこそこ売れるのだろうけど、果たしてiPhoneのように定着するかどうか。
野心的な失敗作の仲間入りになる可能性もある。
私はMACユーザーなので、新しいMACはいずれ買うよ。現在使っているiMacは2011年モデルなので、もう4年目。パソコンの買い換え周期はだいたい5年くらいだからね。噂では、8KディスプレイのiMacが出てくるらしい。たぶん、買い換え時期になる頃には、それが出ているのだろう。
いずれにしても、当面はAppleの動向が注目されることだけは確かだね。