このところの中国の宇宙開発は目覚ましいものがある。
火星探査は、初めてのチャレンジで成功させ、NASAとの差を一気に縮めた。
NASAは予算を削られているのたいして、中国は国家主導で潤沢に資金を投入できているからでもある。
火星への有人探査も、中国がアメリカを追い越してしまうかもしれない。
中国が2033年の「有人火星探査」発表、大規模な資源開発目指す | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
中国政府は、2033年に最初の有人火星探査ミッションを計画している。国有ロケットメーカーが6月24日に発表した。これは、火星で大規模な資源開発を行うという中国の野心的な計画の一環であり、宇宙開発の主導権を握ろうとする米中の緊張関係は、さらに高まりそうだ。
国有企業である中国運搬ロケット技術研究院(China Academy of Launch Vehicle Technology)の王暁軍(Wang Xiaojun)院長は24日、中国が2033年、2035年、2037年、2041年、2043年に火星に有人探査機を送り込む計画であると会議で発表した。
中国は最終的に、火星に恒久的なプレゼンスを築き、地球との間に宇宙船を往復させながら、大規模な資源開発を行うこと想定していると王院長は述べた。また、有人飛行に先立ち、基地となりうる場所の偵察や、地表のサンプル採取、資源採取に用いる機器の製作などを行うロボットミッションが実施されるという。
2033年とは、ずいぶん強気だ。
スペースXが2030年を目標にしているが、計画は遅れるものだから、どっちが先か?……という競争になりそう。
前にも書いたが、火星に人類を送るのに最大の問題は、片道にかかる時間と宇宙線による被爆だ。
無人機ではあまり問題にされないが、生きた人間を送るには最重要課題になる。
どういうロケットで火星に向かうかにもよるが、最短でも8か月、最長で2年がかかる。地球に帰還することを前提とするなら、さらに2年。計4年を生きられる宇宙船にしないといけない。
机上の理論としてはいくつか方法が提案されているが、実現可能かどうかは未知数。
リスクはかなり大きいだろうから、そのリスクを覚悟で挑戦することになる。
そういう意味では、国家の威信を背負う中国の方が一分の理があるようにも思う。たとえ失敗して宇宙飛行士が死んだとしても、独裁国家では命は消耗品だ。名誉の死として英雄に祭り上げられるだけ。
野心的な中国だが、懸念があるとすれば、習近平体制がいつまで続くかだ。現在68歳の習近平だが、12年後は80歳になる。それまでトップの座に座っているかどうか。一党独裁とはいえ、内部の権力争いはあるだろうし、経済が傾くと宇宙開発どころではなくなるかもしれない。中国の民主化は期待できないまでも、旧ソ連のように国が分裂することはありえる。
スペースX社は、NASAのバックアップがあるとはいえ、一企業の財力で火星行きが実現できるかどうかの不安はある。マスク氏の情熱だけでは、成立しない計画だ。
また、ビジネスとして考えた場合、火星に人間を送ることが大きなリターンをもたらすとは思えない。時間とコストがかかりすぎるから、火星の資源を地球に運んでもペイしない。
むしろ、火星よりも月の方が、ビジネスとしては可能性が高い。
火星は遠すぎるんだ。現在の科学技術では。
2033年なら、私はまだ生きているだろう(^_^)
火星レースの勝者が、アメリカと中国のどちらなのか、見られるかもしれない。
どっちも辿り着かない可能性もあるが……。
映画やドラマでは、アメリカと中国が協力して火星を目指す……というストーリーもあるのだが、現実には無理そうだ。
はたして、火星の大地に立つのは、どっちの国旗になるだろうか?