コンピュータの将棋ソフトが、プロ棋士に勝ったというニュースがあった。
コンピュータが人間の能力を上回ったともいえるのだが、ちょっとフェアじゃない気もする。
三浦八段も将棋ソフトに敗れる…将棋界に衝撃 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
GPS将棋は、東大の研究者ら有志が開発したソフトで、昨年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝した。中終盤での強さに加え、今回は東大・駒場キャンパスの約680台のパソコンと接続し、1秒間に約2億7000万局面を読むことができる性能を持つことで、苦手とされる序盤から終盤までスキがなくなった。
「約680台のパソコンと接続」ということで、これはちょっとしたスパコン並みだ。言い換えると、「1人対多数のパソコン」なわけで、多勢に無勢のようにも思う。
将棋は、極論すると「選択肢のゲーム」なので、駒をどう動かすとどうなるかであり、原因と結果が予測しやすい。それゆえ、コンピュータで計算できるものだ。
その選択肢を、「1秒間に約2億7000万局面」も計算できるのであれば、人間のプロ棋士といえどもかなわない気がする。人間では、数十局面くらいしか読めないのではないだろうか? というか、人間同士の対戦の時は、選択肢はもっと少ないように思う。
また、人間の棋士には「感情」があり、劣勢になったときには焦りや緊張感によって、冷静な判断力が失われる場合もあるだろう。
対して、コンピュータは感情とは無縁であり、ただ、ただ次なる最適の選択肢を計算するだけだ。
コンピュータが強かったのは事実だろうが、それは人間ゆえのハンデがあったからではないだろうか?
ランダムな要素が入る、「ポーカー」や「花札」だと、コンピュータは苦手だ。たとえ量子コンピュータが実現したとしても、「ポーカー」や「花札」は確率や運が左右するため、コンピュータが必ず勝てるわけではない。
「花札」といえば、アニメ映画「サマーウォーズ」での対戦シーンが印象的だった。
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物語中にはスパコンも登場するが、スパコンであってもランダムな確率が左右するゲームでは、常に有利とは限らない。確率そのものはコントロールできないからだ。
コンピュータ知性と対決するために「花札」を選んだのは、人間の感情的なハンデをクリアする上で、最適な方法だともいえる。「将棋」を選んでいたら、確実に負ける(笑)。
この電王戦は、いわば無差別級の格闘技みたいなもので、人間がゼントラーディ(超時空要塞マクロス)の巨人と戦っているようものだ(笑)。
ソフトを作っているのは人間だから、いかにアルゴリズムを組むかという作り方も問題ではあるが、ハードの処理能力が桁違いに大きければ、複雑なプログラムを組んでも瞬時に結果を出せてしまう。
F1にはレギュレーションがあるように、電王戦にもある程度の制限は必要なのかもしれない。ハードのスペックが無制限だったら、いくらでも計算能力を高めることができてしまうからだ。