話題性が薄れてきたせいもあるだろうが、楽天koboを巡る記事も少なくなった。
「7月中に3万点、8月中に6万点」と豪語していた三木谷氏の言葉も虚しく、いまだ3万点に届いていない。
今週からジャンル別の合計点数に加え、koboイーブックストアの全点数と日本語で検索した点数を追加した。ジャンルごとのダブりを除いた点数は2万6037点となっており、まだ当面の目標である3万点までの隔たりが大きい状態だ。
8月も残すところあと10日となって、6万点を達成するには1日4000点ペースで増やさないといけない。1日1000点で増やすといっていたことも達成できていないので、実現不可能な目標になってしまったようだ。
スピード、スピード!……と楽天ポリシーはどこにいったのやら(^_^)
これじゃ、ウサギじゃなくてカメだよ。もっとも、寓話ではカメは最後に勝つのだが、それはカメが慎重で堅実だったからで、足は速いが浅はかだったウサギとは取り組み方が違っていたからだ。
デバイスとしてのkoboの不具合や使い勝手の悪さもさることながら、電子ブックのストアとしての楽天koboも不評のようだ。
上のリンクから「日本語」を選んでみると、日本でのサービス開始からひと月後の8月18日時点で、日本語コンテンツの総数が「26149点」であることがわかります。そのうちで「小説・文学」が14260点、グラフィック・ノベルを含めた「小説」が13414点、さらに「文学」に絞り込むと、8531点となりました(なぜかここでは1位がジョージ・オーウェルの『一九八四年』に入れ替わっていました)。
さて、この8531点のうち、有料のコンテンツはどのくらいあるのでしょうか。右上のフィルターで「無料作品のみ表示」に切り替えると、青空文庫に収録されている作品を中心に、 8517点が表示されます。8531点のうち 8517点が無料作品ということは、有料の「文学」作品は残る14点ということになります。
実際にストアの表示を見ると、「文学」のコーナーでは上位13タイトルまでを有料作品が占め、14位以下はずらっと無料作品が並んでいます。なにが「文学」で、なにが「文学」ではないかというのは難しい問題ですが、いずれにしても品揃えがわずか十数点では「書店」として機能しているとはいえません。
上記のカテゴリで表示されているのは、早川書房の本が大部分。そのほかの出版社はどうした?……と言いたくなってしまう。
しかも、この中にはライトノベルは含まれていない。ライトノベルは別ジャンルになっていて、そちらでは811点(8/22日現在)ある。
ライトノベルは文学じゃないのか?……と突っ込みをいれたくなってしまう(^_^)
これはほかのジャンル小説にもいえる。
とにかく、カテゴリの分け方がわかりにくいし、階層構造も錯綜しているので、これでは「ショーケース」としての機能がほとんど意味をなしていない。
実店舗で、こんな整理されていない本屋があったら、二度と行かないだろうね。本屋でも図書館でも「分類」というのは、もっとも重要な要素だ。本の数が増えるほどに「分類」がどれほど的確かで、利用価値が高まる。
まぁ、ある意味、雑然としてるのが「楽天らしい」ともいえる。
そもそもショップの寄せ集めである楽天では、一貫性や使い勝手の良さは二の次だ。見にくいページだったり、だらだらと長い説明文に辟易したりで、スマートさがないのが楽天だ。これにはショップのシステムが旧態依然としている事情もある。出店する側にとっても、とにかく使いにくいシステムなのだ。
楽天で買い物はよくしているが、それはたまたま求めている商品が、楽天に出店しているショップにあるからという理由だ。値段が同等で、ほかのショップにあるのなら、わざわざ楽天を使おうとは思わない。
電子ブックの点数がなかなか増えない楽天koboだが、奥の手があるらしいというのが、以下の記事。
8月末6万タイトルの要?:パブー、作品を外部ストアに配信できる機能を追加――第1弾はkoboイーブックストア – 電子書籍情報が満載! eBook USER
個人出版サービス「パブー」などを手掛けるブクログは8月9日、パブーで作成・公開した電子書籍作品を外部の電子書店へ配信できる「外部ストア連携機能」を追加した。外部ストアの第1弾は、楽天グループのKoboが運営する「koboイーブックストア」で、配信開始時期は8月中旬を予定している。
「パブー」には私の電子ブックを置いていたりするが、ようするに大半はアマチュアの作品だ(^_^)
アマチュアの作品となると、レベルはピンキリだ。
現状の楽天koboの作品数の半分くらいは無料本だし、そこに同人誌作品が大量に入り込むことになるのだろうか? 同人誌作家としては販売機会が増えることは歓迎だろうが、購読者として同人誌作品が大量に増えることはどうなのだろう?……と思う。
楽天koboは電子ブックの形式としてEPUB 3を採用しているが、「パブー」はWEB閲覧かEPUB(3ではない)かPDFが主体だ。表紙のないものもあるし、EPUB 3に変換する手間は、どうしてもかかる。右から左に持って行けるわけではないので、すぐには楽天koboの増量とはならないように思う。
ああ、でも、点数だけ稼ぐのなら、もうひとつ奥の手がある。
それは短い作品でも1点にしてしまうことだ。たとえば数ページのショートショートを1点としてカウントするとか、「まぐまぐ」などの有料メルマガと提携して、メルマガ1号分を1点としてカウントする方法。メルマガの1号分なんて本にしたら数ページだからね。
いずれにしても、8月中の6万点は、大逆転でもないかぎり不可能だろうし、年内に20万点なんてのは……絵に描いた餅のような気がする。