今日もメタバースの記事から。
 メタバースに対して、好意的な発言と批判的な発言が出てくるが、比率としては半々かな。イメージが先行していて、超未来的なメタバースの可能性はあるにしても、現状で実現しているメタバースみたいな世界観との落差が大きい。
 それについて「ガッカリ」という記事。

プレステの父が「ザッカーバーグのメタバースにはガッカリ」と痛烈批判の根拠 連載:メタバース・ビジネス・インサイト|ビジネス+IT

NTTドコモやみずほ銀行、日産自動車、モスバーガーなど、大手日本企業も相次いで参入を表明するメタバース。こうしたブームが起きた震源地は、フェイスブックから社名を変えたメタだろう。これに対し、「メタのメタバースにはガッカリしている」と辛辣な言葉で批判するのは、プレイステーションの生みの親で、近畿大学情報学部長の久夛良木健氏だ。批判の裏側にあるのは何か。

(中略)

 僕がメタバースについて以前取材を受けた記事から、久夛良木は「メタバースには懐疑的」とか「否定的」といった書き込みがネットを賑わせました。

 僕はメタバースの未来に懐疑的・否定的なのではなく、メタ社のマーク・ザッカーバーグ氏が広めようとしているメタバースに対し、あんなものではダメと言ったのです。

 先日公開された彼自身のアバターが登場するメタバースですが、社名までフェイスブックからメタに変えて、ようやく出てきたものがこれだったのかという残念な気持ちになりました。

(中略)

 メタ社が広めようとしているのは、実はひと昔前のゲームのようなものに過ぎなかったのかということに気づいてしまい、多かれ少なかれガッカリしているのが今の状況だと捉えています。「10年前の任天堂のゲームのほうがはるかにいい」と言っている人さえもいましたよね。

 ゴーグル(HMD)を使うというスタイルに固執していると、メタバースは広がらないだろうなとは思う。デバイスとしては最新型でも、技術としては古いものの焼き直しだしね。
 iPhoneやiPadが登場したときのようなインパクトは乏しい。

 ただし、iPhoneが登場したときに「こんなのは流行らない」と酷評した専門家たちが少なからずいたのも事実。その後のスマホのスタンダードになったのは周知の通り。今は酷評されているゴーグル・デバイスだが、10年後には、みんながゴーグルをして街を歩いているかもしれない(笑)。歩きスマホから、歩きゴーグルに……それはそれで恐ろしい未来像ではあるが。

 ザッカーバーグのアバターは脚がついて進化したとはいえ、ガッカリなのは相変わらず。
 しかし、リアルなアバターを作る技術がMeta Connect 2022で紹介されている。

 これがMeta社のメタバースに実装されるのなら、かなり面白いかもしれない。
 とはいえ、自分似のアバターを使いたい人がどれだけいるかは疑問。せっかくの仮想空間なのに、リアルの自分でプレイするなんて、なんの罰ゲームだよって思う。

 技術を悪用する人は必ず出てくるので、他人の姿を盗撮して他人のアバターを作ることも可能なわけで、「アバターなりすまし」といった事案も発生するだろう。芸能人だとテレビやYouTubeの映像を元にして、有名人アバターを作ることもできる。
 この技術は面白いが、フェイクを作りやすくもなってしまうリスクがある。

 久夛良木健氏がいうように、「残念なメタバース」が出鼻をくじいているように思う。これはAIにもいえるのだが、SF小説や映画、アニメで描かれてきたサイバースペースが期待されているのに、出てきたメタバースがあまりにもチープなのにガッカリしている。Meta社が社運をかけているらしいメタバースが、この程度のものなのかという失望感。

 もちろん可能性を否定するわけではない。
 もしかしたら、大化けしてメタバースが大ブームになるかもしれない。
 そのためには、なにかブレイクスルーになる技術なりコンテンツなりが登場しないと、残念なままで終わってしまうだろう。

 とりあえず、5年後、メタバースがどうなっているかだね。
 あまり期待せずに動向を追っていこうと思う。

諌山 裕

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