首都圏の鉄道では、Suica(スイカ)とPASMO(パスモ)が共存しているが、どっちでも使えるということでは、両方持っている必要がない。
 PASMOが登場したとき、なぜSuicaに統一しなかったのだろう?……と疑問に思ったものだ。
 同じ機能を持ったICカードが、いくつもいらない。後発のPASMOがシェアをどれだけ食えるのかも首をかしげた。JRと私鉄がカードの相互利用をしないのであれば、存在理由もあり、顧客を囲い込むことにはなったと思う。だが、現在はどちらでも使えるため、どちらか一方でいい状態だ。

 Suicaは全国で使えるようになったが、PASMOは首都圏だけに限られている。
※2009年時点の話。2013年3月以降、全国で相互利用開始。
 その原因というのが……

首都圏「パスモ」エリア拡大に難問…大手と中小が平行線(読売新聞) – Yahoo!ニュース

 JR東日本の「Suica(スイカ)」は“全国規模”で利用できるが、パスモは基本的に首都圏でしか利用できないため、顧客拡大を狙えないとして、一部の大手私鉄がエリア拡大を希望。これに対し、地域経営型のバス会社などは「これ以上の追加費用は負担できない」と反対意見が強く、議論は平行線をたどったままだ。関係者からは「寄り合い所帯の弱点が出た」と嘆く声も聞こえてくる。

 PASMOを基本とする私鉄の自動改札機には、なぜか「ICカード」という表記で「PASMO」とは書いていなかった。後付けでPASMOのシールを貼ったりしているのだが、機器そのものにはPASMOのロゴが入っていないのだ。
 それを見たとき、これはいずれSuicaに吸収されてしまうことへの布石なのでは?……と勘ぐった。
 あと、私鉄の改札機の方が、JRの改札機に比べて、カードの読み取りの反応が遅い気がする。そのためか、私鉄の改札で「引っかかる」人が多いように思う。
 私鉄とJRで機器の製造メーカーが違うようなので、そのへんのスペックの違いなのかもしれない。

 いずれにしても、同様の機能のカードは2つもいらない。通勤で私鉄しか利用しない人はPASMOの定期にするしかないのだが、SuicaとPASMOがパスケースに一緒に入っていると誤作動するという面倒なこともあるのだから、Suicaでも私鉄の定期が買えるようにして欲しいものだ。
 PASMOが首都圏から外に出られないとしたら、いずれは淘汰されてSuicaに吸収されるような気がする。
 その方がユーザーにとっても、メリットが大きいと思うのだが。

諌山 裕

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