福島第一原発の処理水の放出をめぐって、国内・国外で過剰な反応が飛び交っている。
本来の問題とは別に、これを政治的な方便に利用しているのが国内の野党であり、国外の中国や韓国だ。野党は中韓の手先なのか?……といいたくなってしまう。
【解説】処理水放出に中国反発…水産物の根拠なき“全面禁輸” 安全性は…世界各国より“厳しい基準”
東京電力・福島第一原発の処理水の放出が24日から始まっていますが、これに反発している中国は日本の水産品の輸入を「全面禁止」とし、その影響が広がっています。
(中略)
汚染水からほとんどの放射性物質を取り除いたものが処理水ですが、トリチウムという放射性物質は取り除くことができないため、海水で薄めて今回、海へ放出することになりました。
これまでも測定はしていましたが、今後はさらに海水などの「トリチウムの濃度」が気になるところです。
そもそも、国が定めた海に放出する際の安全基準は「1リットルあたり6万ベクレル」ですが、今回はさらに厳しく、「1リットルあたり1500ベクレル未満」という基準にしています。
これはWHO(=世界保健機関)が定める「飲料水」の基準となる濃度「1リットルあたり1万ベクレル」よりもはるかに低い基準です。その上で海洋放出の放出口から一番近い沖合1キロ付近の濃度を見てみると、直近では0.1ベクレルから1ベクレルの間くらいです。そして、東電が発表した放出後、初の測定結果ですが、基準値は大きく下回っていて、異常はなかったということです。
日本だけでなく世界各地に原子力施設はありますが、各国はどれくらいのトリチウムを排出しているのでしょうか。経済産業省によると、中国の陽江原発では112兆ベクレル。フランスのラ・アーグ再処理施設は1京ベクレルと桁違いの排出量です。
これに対して、日本の福島第一原発はというと、今年度は約5兆ベクレル、来年度以降は22兆ベクレル未満とする計画です。こうして30年程度かけて全ての処理水を海へと放出する予定です。
(中略)
そしてもう1つのポイントが中国による「根拠なき『全面禁輸』」です。
24日に中国の山東省や上海などで撮影された映像では、店の前に大行列ができていました。行列に並んだ人たちの目当ては「塩」です。海洋放出をうけて塩の買いだめが発生して、ある店では4トンの塩が1時間で売り切れたといいます。
そもそも論として、原発事故を起こしてしまったのが日本の失態ではある。日本政府と東電は厳しく断罪されるべきだと思う。事故発生時の政権は民主党だったのだから、民主党出身者に批判する資格はない。
処理水に微量に含まれるトリチウムが問題視されているわけだが、「トリチウム」というカタカナ表記だと、なにか危険なニュアンスが漂ってしまう。
トリチウムとは、日本語にすると「三重水素」である。
三重水素と呼ぶと、イメージが変わると思う。
放射性物質ではあるが、ウランやプルトニウムとは異なる。
三重水素は放射性を帯びるが、陽子1つと中性子2つから構成される水素の同位体。化学的反応は通常の水素と同等のもので、自然界にも微量ながら存在する。原発だけから出てくるわけではない。
普段から、私たちは知らずに取り込んでいて、「体重60kg程度の人の場合、50ベクレル程度のトリチウムを体内に保有している」とされている。
三重水素を処理水から分離しにくいのは、通常の水素(軽水素)同様に酸素と結びついて水になってしまうため、より分けることが困難だからだ。
記事中の図にもあるように、原発を所有する各国がトリチウムを海洋に排出している。中国は核実験で、大気中に散々放射性物質をまき散らしてきたではないか。
中韓は、自分のことを棚に上げて、偉そうなことが言えるものだ。その意図は、外交的な圧力であることは明白。
日本の現政権は特にそうだが、説明することが下手くそ。伝統的に説明責任をなおざりにしてきたから、肝心なときに説得力のある説明ができない。国民に対しても説得できないのに、国外に対してはますます説得できない。演説下手の岸田首相では、期待するのが無理ではあるが。
中韓の輸入禁止は、水産物だけに限らず、日本製品全般に拡大されそうな雰囲気になっているようだ。日本にダメージを与えようという意図だろう。これはもう外交戦争でもある。
輸入は禁止するが、日本近海での違法操業は続けられると思う。自分勝手な二枚舌だね。
中国の思惑は、そう遠くない将来に、台湾有事が発生するだろうから、それに備えた牽制でもあるのだろう。
中国依存からの脱却が必要だ。中国相手の貿易に関わる産業や、中国人観光客を当てにする観光業には痛手だろうが。
幸いにも、食料輸入に関しては、中国依存度は低い。
日本の食料国内生産と輸入量の実態食料自給率と安全保障 第2回 | 三菱総合研究所(MRI)
中国からの食料輸出を止められても、影響は少ないと思われる。
トリチウムを除去する技術がないのかというと、これがあるんだな。
トリチウム除去で新手法、放射能汚染水を電気分解|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社(2023年月7月25日)
東京理科大学の安藤静敏教授らは、放射能汚染水からトリチウムを除去する手法を開発した。汚染水に炭化物粉末とシリカ鉱石粉末を添加して撹拌した後、水を電気分解する。トリチウムの減衰率が約9・02%となり比較的高い分離効率であることが分かった。新たな放射線物質の分離技術として応用が期待される。
東京都立産業技術研究センターとの共同研究。成果は、国際科学誌ヘリヨンに掲載された。企業と共同研究を進め、社会実装を目指す。
トリチウム疑似汚染水50リットルに対し、吸着剤としてもみ殻や花などを燃やして作った炭化物粉末とシリカ鉱石粉末を加えて撹拌・循環した。撹拌装置には未粉末の1センチ―2センチメートルのシリカ鉱石を充填したドラムも設置し、回転させながら循環させた。その後、陰極にステンレス、陽極にアルミニウムを使って処理水を電気分解した。水中のトリチウム分子は解離してトリチウムイオンやトリチウム―水酸化物イオンになり、撹拌・循環で添加物が吸着したとみられる。トリチウムが吸着した添加物は電解処理で電極に堆積し、回収できた。
一連の工程を2回繰り返した処理水を調べるとトリチウムの減衰率が従来よりも比較的高く、再現性も高いことが分かった。
放射性物質を含む汚染水の処理はさまざまな方法が開発されている。だがトリチウムは他の放射性物質に比べて除去が困難であり、安全に高効率で処理する方法の開発が求められていた。
この記事は2023年月7月25日付なので、つい最近。
こういう技術が出てきたのだから、この研究が実用化できるようにドカンッと資金をつぎ込めよ。それが政府のやることだろうと思う。
コロナのときもそうだったが、新しい技術、新しい知見が出てきても、それを生かせないのが日本という国の体質なんだよね。
頭の使い方、技術の使い方、金の使い方が間違っている。
悲しいかな、日本が没落していく原因は、そこにあるんだよね。