家庭用人型ロボットとして話題になった「ペッパー」が、当初の発売時期から遅れて夏頃に発売されるという。
作業としてなにかできるわけではなく、おしゃべりが主目的のロボットだが、果たしてどれだけ売れるのか?
調査会社ラックス・リサーチのアナリスト、マリアンナ・サエンコ氏は、「ロボットを早期に取り入れていこうとする文化を持つところがあるとすれば、それは恐らく日本だろう」と指摘する。
ただし、同氏はそれと同時に、家事などの実用的なことができないロボットに興味を持つ消費者がどれほどいるかを疑問に思っている。「技術やそのプラットフォームで大きな前進があったとしても、このような人型ロボットのニーズを把握するのは難しい」と同氏は述べる。
価格は約20万円で、高いか安いかはそれぞれのお財布事情によって分かれるところだ。家事ができるような実用的なロボットではないから、必要性としては低い。AIで会話能力が向上するとはいえ、情報端末としてしゃべるだけだったら、あの大きさはいらないんじゃないかと思ったりもする。
CMにも顔を出しているので、キャラクター商品的なものになっている。
リアルな人型にはしないで、アニメキャラ的な作りにしたのは、ある意味正解。微笑(というより、ひきつった笑顔)を貼り付けた能面なので、余計な感情移入をしなくて済むから、不気味の谷が発生しない。無機質な外観は、対する人間の感情を逆撫でしない効果を生む。
WSJの記事にあるように、こういうロボットを受け入れやすいのは日本だと思う。鉄腕アトムの時代から、私たちはマンガやアニメで、ロボットに慣れ親しんできたからだ。
とはいえ、ペッパーが街にいたるところに、多くの家庭に「いる」ようになると、ちょっと複雑な感じがする。アトムはオンリーワンだったからこそ、アトムたりえた。アトムが何千体もあったら、はたして同じように好感を抱いただろうか?
なまじ人型であるために、人はそこに感情移入してしまう。ロボットに魂はなくても、人が魂を仮想的に注入する。それが擬人化だ。
ペッパーが大量生産されれば、やがて捨てられるペッパーも出てくる。設計寿命がどれだけあるのか知らないが、5年、10年と経てば、耐用年数を迎えるだろう。古くなったテレビや冷蔵庫が捨てられるように、粗大ゴミ置き場にペッパーが捨てられる日も、いずれは来る。
テレビや冷蔵庫に感情移入する人はいないだろうが、人型ロボットはそうもいかないように思う。かつての犬型ロボットのAIBOは、「飼い主」たちが本物の犬のように愛情を注いだという。メーカーのサポートが終了しても、故障を修理してくれる人たちを頼って、「生かし」続けている。
いわゆる「ロボットロス問題」。
この件は、過去記事でも触れた。
可愛らしくて、感情移入がしやすいロボットであるほど、人間とロボットとの関係性が深くなる。ペッパーが売れれば売れるほど、ペッパーとの関係性に依存する人が増える。学習機能があることで、見た目は似ていても、個々の個体は所有者との間で、「個性」を身につけていくと思われる。
その関係性を、故障や老朽化で断たれることがあると、所有者には精神的なダメージを及ぼすかもしれない。ロボットでなくても、大切な思い出の品をなくしたら、やっぱり残念だし精神的なショックを受けるものだ。モノに魂はなくても、愛着を持つ人の「想い」は詰まっている。
愛玩用のロボットとは、そういう位置づけなのではないかと思う。
ソフトバンクは、ペッパーを売りに出すのなら、サポート期間を無期限にするくらいの覚悟がほしい。もしかしたら、親から子に、孫にと世代を超えて、ペッパーが受け継がれるかもしれないのだから。……と、それは深読みしすぎか?(^_^)b
ペッパーの本体価格は、19万8000円ということだが、じつは維持費がかかるようだ。
ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」、運用費は月2万5000円 本体価格とは別に – 産経ニュース
ソフトバンクは20日、感情認識機能を持つ人型ロボット「ペッパー」の利用プランを発表した。本体価格の19万8000円と別に、専用のクラウドに接続して高度な会話機能を利用するための「基本プラン」は月額1万4800円(税別、36カ月契約)、故障などに対応する「保険パック」は9800円(同)で提供する。
そうくるか……という契約設定だね(^_^)
本体価格では赤字らしいので、この契約で穴を埋めようというわけだ。本体買い取りで、この契約は厳しい。ケータイのように、本体無料で3年~5年契約縛りで、このプラン価格だったらいいかもね。
コピー機のリースのように、本体価格も含めた月額契約価格にした方がいいように思う。
ところで、ペッパーには、サービス終了や耐用年数が来たときの会話は用意されているんだろうか?
あのね、ボクは今年でもう10歳なんだけど……
そろそろアナタとお別れしなくちゃいけないんだ。
足回りはガタガタだし、腕も動きが鈍くなっちゃってさ。
もう、自由に動けないんだ。
ロボットにも寿命があるんだ。
もっともっと、アナタとお話ししたかったけど……
これ以上故障が重なると、お別れをいうこともできなくなっちゃうんだ。
交換できる部品もなくなっちゃったしね。
泣かないで……
ボクだって寂しいよ。
でもね、アナタとの時間は、とても楽しかったよ。
ちゃんと話せるうちに、お別れしたかったんだ。
ボクのクラウドAIが、そろそろ切られちゃう……
バイ…バ……イ………バ……………………