かつて、大分空港と大分市内を結ぶホバークラフトが就航していた。
日本では珍しいホバークラフトだった。
私の出身県でもあり、帰省したときには利用していた。
しかし2009年、経営破綻してホバークラフトは姿を消した。

そのホバークラフトが復活するという。

グリフォン・ホバーワーク社(イギリス)の商業用ホバークラフト 12000TD。 製造しているのはこの1社のみだという。

大分県、大分空港海上アクセスのホバークラフトを一般競争入札公告。2023年度内に3隻納入。客席80席に荷物や自転車用のスペース設置 – トラベル Watch

 大分県は7月1日、計画中の「大分空港海上アクセス」に用いるホバークラフト(エアクッション艇)の一般競争入札を公告した。

本計画は大分市・大分港と大分空港を海上でアクセスするルートを設けるもの。2009年までホバークラフトを運航していた大分ホーバーフェリーの運航終了後は、別府湾を迂回してのアクセスとなっている。

大分県では2020年3月に大分港と大分空港をホバークラフトで結ぶ海上アクセスルートを2023年以降の運航する計画を発表。県が船舶などを保有し、運航は民間事業者が担う上下分離方式と採ることで採算性を高める。運航を担う事業者は福岡県北九州市に本社を置く第一交通産業株式会社に決定。

県が調達するホバークラフトは、予備船を含めて3隻を予定。入札公告では納入期限を1番船を2023年7月20日、2番船を同年10月12日、3番船を2024年1月18日とし、2023年度内に3隻を調達する計画となっている。

艇の仕様は、総トン数約60トンで、スカート展張時のサイズが約27×13×8.5m(全長×全幅×全高)。旅客定員は80名以上、最高速力は満載時45ノット以上とされ、客室には80脚以上のシートベルト付き座席、車いすスペース、荷物スペース、4台分以上の自転車スペースを設けることなどが示されている。

大分空港海上アクセスの計画(2020年3月4日発表時の同県資料)

自分の故郷の話だから悪く言いたくはないのだけど……。
これ、失敗フラグが立ってると思うよ(^_^)b

利用者見込み数が楽観的すぎ。
40万人というのは、以前のホバークラフトのときのピーク時の数字だ。
いきなりそんな数字で運用できるとは思えない。

資料中に「H30年度の大分空港利用者数が200万人を突破」とあるのだが、昨年度(2020年)は56万546人に激減している。もちろん、これはコロナによる影響だ。
「今後もさらに増加の見込み」という見込みは、この資料の発表時から1年余り経過して、早くも破綻している。

ワクチン接種が国民の7割以上になったとしても、旅客数がどれだけ回復し、伸びていくかは未知数。国内だけでなく、世界的にも巣ごもりが主流になるとしたら、海外からの旅行者も以前のようには見込めない。

空港利用者が200万人で、ホバークラフト利用者が40万人ということは、20%になる。
昨年度の空港利用者から計算すると、11万2109人となり、いきなり大赤字だ。
前ホバークラフトは、24万9000人にまで落ち込んだところで経営破綻している。
過去の教訓に学ばないと、また同じ過ちを繰り返すことになる。

そもそも大分県は、鉄道網が寂しいので、県民の足は自動車およびバイクだ。昨今では、路線バスも減っているので、ますます車社会になっている。
空港までの道は、現在では高速道路が整備されていて、前ホバークラフト時代よりも道路事情がよくなった。家族の誰かが車を持っているのなら、空港まで送り迎えしてもらうのがもっとも手っ取り早い。私もそうしていた。

ところで、『大分空港がアジア初の宇宙港に』という話はどうなった?
その後の続報を見ないのだが?
もし、これが実現するのなら呼び水になるだろうが、現状の大分空港では成功は望み薄。
ホバークラフトは珍しいが、それだけで観光客を呼べるわけじゃない。
考え直した方がいいと思うぞ。

諌山 裕

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