一時期ロボットの代名詞にもなった「ペッパー」だが、製造が停止されているという。
登場したときには目新しさもあり話題になったが、おしゃべりするだけのロボットだったので、使い道が限られてしまった。

ソフトバンクG、「ペッパー」製造停止 販売低迷、ロボット事業縮小:時事ドットコム

 ソフトバンクグループ(SBG)が人型ロボット「ペッパー」の新規製造を停止したことが29日、分かった。販売が伸び悩む中、事業戦略を見直したとみられ、海外製造拠点の人員削減・再配置も進めているようだ。

ペッパーは高さ121センチで人の感情に対応し会話する。2015年に発売された。SBGのロボット事業会社は昨年、製造を停止した。ロイター通信によると、ペッパーは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループに生産を委託していたが、世界で顧客層を広げることができず、生産台数は2万7000台にとどまった。

関係者によると、SBGはフランスで330人の従業員の半数程度を削減する方向で協議中。既に米国や英国では販売部門の半数を削減したほか、日本でロボット事業に携わっていた従業員を配置転換した。

SBGは今月、先端ロボット開発を手掛ける米ボストン・ダイナミクスの株式の8割を韓国の現代自動車グループに売却している。

まぁ、ようするに売れなくなったということね。
飽きられたんだと思う。

過去記事の「ペッパーは家庭のスパイスになれるか?」(2015年2月20日付)で書いたが、ペッパーが粗大ゴミに出されるのが現実的になってきた。
レンタルであれば返却されるが、購入だと処分は持ち主がすることになる。
スペック的にも古くなっているだろうから、処理速度の向上にはハードの交換が必要だろう。6年前のPCなんて、そろそろ買い換え時期だしね。

おしゃべりするだけのロボットであれば、大きなボディを持つ必要はなかった。手乗りサイズのボディの方が邪魔にならないし、価格も安くできる。画面内の仮想キャラクターであれば、そもそも物理的なボディは必要ない。

ペッパーは子供くらいの大きさのボディを持ちながら、できることが貧弱すぎた。
うちの近所のソフトバンクのショップの前には、今でもペッパーが置かれているが、電源は入っていないようで、ただの人形と化している。

SBGはボストン・ダイナミクスを売却もしているので、ロボット事業からは後退なんだろうね。
AIもそうだが、ロボットもSFでのイメージが先行していて、実現できているロボットとのギャップが大きい。一部のマニアックなユーザーは面白がるだろうが、一般に普及するにはあまりにも汎用性がない。

飽きられた一因は、ペッパーに続く新機種が出てこなかったこともあるように思う。
ペッパーの弟のソルト、妹のシュガーとか、そういう展開がなかった。アトムにだって妹のウランがいたんだ(^_^)

とはいえ、ペッパーは自律して歩けないという最大の欠点があった。平坦な床であれば、車輪で移動も可能だったが、とても不安定で制約があった。転んだら自分では起き上がれないロボットなんて、面倒くさいだけ(^_^)b

ペッパーは先駆的なロボットにはなったが、現代の技術でのロボットの限界を周知させることにもなった。
二足歩行するロボットが、街を闊歩する未来は、まだだいぶ先の話だ。

諌山 裕

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