老猫のシマ、18年の生涯を閉じる……

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老猫「シマ」の残された日々
追記:photo~今日の老猫「シマ」
……の続き。

とうとう……
その日が来てしまった。

老猫の「シマ」が死んだ………

昨年から、何度も「もうダメかも」という危険な状態になっていたが、なんとか乗り越えて年は越せた。
しかし、遅かれ早かれ、「その日」が来ることは明白だった。
それが「いつか」ということ。
その日が1日でも先であるように願っていた。

それで3ヶ月持ちこたえた。

この数週間は、いつ逝ってもおかしくない状況だった。
毎度病院に連れて行くのは大変なので、自宅で点滴(補液)をしていた。脱水症状になってしまうのを補うためだった。補液をすると、少し元気が戻っていた。

シマはマグロの刺身が大好きだった。
ここ数日は、毎日刺身を買って帰った。
数日前から、立つこともできなくなって、寝たきりだった。
それでも、刺身を鼻先に出すと、ガツガツと食べた。消化は満足にできないだろうに、好きなものを食べたいという欲求だけはあったようだ。

シマの死期が近づいてきてからは、朝、出勤するときに、
「帰るまで生きていろよ」といって出かけた。
できることなら、ずっとそばにいてあげたかったが、そういうわけにもいかない。会社の上司にしてみれば「たかが猫」である。前に、クリが危篤になったとき、早退したいと言ったら、馬鹿にされた。他人にとっては「たかが猫」でしかない。
これが人間の家族だったら、同情もしてくれるだろうが、猫は猫でしかない。

今朝は、虫の息で昏睡状態だった。
もうだめだ。もう限界だ。
それはわかっていた。
それでも……
「帰るまで生きてろよ」
といって、重い足を会社に向けた。

最後は看取ってあげたかった。
ひとりで逝かせたくなかった。
帰宅したら、死んでいた……なんて最悪のシナリオだ。
死ぬことは覚悟していたが、ひとりで逝ってしまうなんて、寂しすぎる。

しかし、願いは叶わなかった。
シマは私が帰るまで、待っていてくれなかった。

なんてこった!!!!

もしかしたら、シマは私がその場に居合わせることで悲しませたくなかったから、ひとりで逝ってしまったのか?
勝手な思い込みだが、そう思うことで自分を納得させる。

夕べは一緒に寝た。
いつも一緒に寝ていたのだが、夕べが最後になった。
もう、シマと一緒に寝ることはなくなる……
その実感が、まだ……ない。
心に空いた空白が埋まらない。

もう何度も猫たちを見送ってきたが、旅立っていくたびに、私の魂の一部が削り取られていくような気がする。
また、穴が空いた。
それは埋まらない穴だ。
この穴がこれからも増えていって、いずれボロボロになる。

猫たちは私たち夫婦にとっては、我が子同然。
なくてはならない心の一部だ。
それを失うのは辛い。

とはいえ、出会いがあれば別れがある。始まりがあれば終わりがある。
私はうちの猫たちの旅立ちを、すべて見届けなくてはならない。その覚悟がなければ、猫と一緒に生きていくことはできない。
それは私の責任であり、義務だと思っている。

シマと過ごした18年は……
楽しかったよ。
小さな子猫の頃に、妻の友達からもらった。洋猫のヒマラヤンの血が入っているため、パッと見はアメショのシルバータビーのように見える。
子猫の頃から体が丈夫ではなくて、ひ弱だった。
長生きしないかも……と思っていたが、なんと18年も長生きした。
私に常に張り付きたがる奴で、いつも膝の上に乗っていた。寝るときは、一緒に布団に入って寝た。
それが生活の一部だった。
それが今日からなくなってしまう。

悲しいし寂しいが、今は虚脱感の方が大きい。

ため息ばかりが出てくる。

たぶん、何日か経つほどに、失ったものの大きさが堪えてくるのだと思う。
まだ元気だった頃のシマの写真を探し出した。

在りし日のシマ

在りし日のシマ

4年前(現在年からは16年前)の写真だ。
この頃はふっくらとしていたが、ここ数ヶ月はガリガリに痩せて、体重は2キロくらいになっていた。

頑張ったと思う。
よく生きてくれたと思う。
じつは、明日は私の誕生日だ。
「オレの誕生日まで死ぬな」ともいっていたのだが、ギリギリの前日まで頑張ってくれた。

ありがとう……

ありがとう、シマ。
もう、おまえの甘えた声を聞けないのは寂しいけど……
ありがとう。

シマと出会えて、私も幸せだったよ。

ありがとう。
ほんとうに、ありがとう……

輪廻転生があるとか、天国があるとか、そんなことは信じないんだけど、また、出会えたらいいね。
というか、もう一度、会いたいよ!

くそっ!
涙が出てきやがった。
覚悟はしていたつもりなのに、やっぱり「その日」が来てしまうのは辛い。
シマの亡骸は、リビングの座布団の上に横たえている。
それは私の座布団だ。シマは、そこにいつも座っていたのだ。最後の数日は、シマの布団にしていた。

亡骸は眠っているようだ。
つついたら、起きてきそうだ。
もう起きないし、死後硬直で硬くなっているのだが、ついつい手を伸ばして撫でてしまう。
起きてくるんじゃないかと、ありえない期待をして……

寂しい……
とても寂しいよ。
もう、シマがいないなんて……

ああ……
どうしよう……

しばらく、ため息が続きそうだ。

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