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サッカーに限らずだが、海外のスポーツ選手は、タトゥーをしている人が多い。
ファッションとしてのタトゥーであったり、自己顕示のタトゥーでもあるのだろうが、痛い思いをして皮膚を傷つけているわけで、体に負荷をかけていることは容易に想像できる。

そのタトゥーが、スポーツ選手には悪影響を及ぼすという研究報告が出たようだ。

タトゥーはサッカー選手に悪影響? 独の大学教授が研究結果を報告 | サッカーキング

 同紙によると、ケルン体育大学のインゴ・フロベーゼ教授がタトゥーとサッカー選手との関係を研究。タトゥーに使用されるインクの60~70パーセントは皮膚から血管にまで達して体内の血液循環に影響を与えることや、範囲の大きなタトゥーが皮膚の発汗機能や体温調節機能を阻害することを指摘したという。一つのタトゥーを身体に入れると、しばらくはフィジカル面で3パーセントから5パーセントほどパフォーマンスが低下するとの研究報告を発表した。

タトゥーについてフロベーゼ教授は、「皮膚は人体の中で最大の器官であり、タトゥーはそれを汚染する行為だ」とコメント。さらに「私が責任ある立場にあったら、タトゥーは禁止する。小さなことかもしれないが、真剣に検討するべきだ」と各クラブへ対策の必要性を訴えた。

もっともな話だが、医学的に根拠を示したのが新しい。
タトゥーは、意図的に皮膚にダメージを与えているわけで、火傷をしているのに近いように思う。
若いときはよくても、引退し、高齢になったときに、より大きな代償を払うことになるのかもしれない。

なぜ、タトゥーを入れたがるのか?

周りがしているから、真似したくなったり、ファッションだったりするのだろうが、心理的な背景も関係しているように思う。

目立ちたいという自己顕示欲。
または、強さの誇示。それは逆説的に、自分の弱さを隠すためでもある。
あるいは、プレッシャーやストレスに起因する、自分を傷つける自虐的行為。
ピッチの上では素晴らしい選手であっても、プライベートでは孤独だったり、悩みを抱える弱い一面もあるだろう。
強い自分、脅威を与える選手という姿を具現化するための手段のひとつが、タトゥーなのではないか。

ピアスを耳だけでなく、あちこちにたくさん付ける人とも共通しているが、タトゥーも自傷行為のひとつだろう。
それは、弱さの裏返し。
虚勢を張ることを表現している。

ただ、タトゥーによる身体機能のわずかな低下はあるにしても、メンタル的な弱さを補うことにはなっているのかな……と思う。それが自己暗示だとしても、一定の効果にはなっていると思われる。

タトゥーの柄として、宗教的なモチーフを彫る人も多いが、信仰心の強さや神の加護を得たいという願望もあるのだろう。それもまた、心の弱さの表れだ。

スター選手といえども、人間。
強さと弱さは共存している。そして、弱さの部分を隠したいと思うもの。
タトゥーは、いわば鎧でありカモフラージュの役目をしている。

サッカー選手では、メッシのタトゥーが増え続けているのが話題になる。

メッシの新タトゥーに警鐘 | リーガエスパニョーラを現地から!スペインサッカー専門サイトSPORT.es/スポルト

しかしながら、リスクも伴う。
「様々な色のインク使われるタトゥーや炭素をベースにして真っ黒にするタトゥーは非常に有害な物質が含まれている。」と皮膚科医でタトゥー除去の専門家でもあるウィル・カービィは雑誌“Women’s Health”の中で語った。

この有害な物質というのは……

タトゥーのインク、3分の2に有害物質=独調査 | ロイター

ドイツのカルルスルーエにある研究機関「化学獣医学検査局(CVUA)」は18日、同国で使われているタトゥーのインクに関する調査で、3分の1には許可されていない原料が使われていたことが分かったと発表した。

また、調査対象となったインクの3分の2には、違法ではないが人間の肌に付けることは想定されていない有害な物質が含まれていた。

中には、タイヤやプリンターのトナーに使われるカーボンブラックなど、発がん性物質が含まれていたものもあったという。

ということで、将来的に皮膚がんなどを発症するリスクも考えられる。
つまりは、自分の寿命を縮めているともいえる。

ドーピングには厳しくなったスポーツ界だが、タトゥーには肝要だ。
それはタトゥーのリスクが、真面目に議論されていないからでもある。
体が資本のスポーツ選手が、自分の体の身体機能を犠牲にするのは、好ましいとはいえない。

タトゥーが増えたメッシを見ていると、ちょっと痛々しさを感じる。
そんな誇示しなくても、十分に強い選手なのに……。

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